スワンプマンとは?意味を解説&驚愕の思考実験の真相まとめ! | ToraTora[トラトラ]

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皆さんは、スワンプマンという言葉をご存じでしょうか?スワンプとは、英語でswampというつづりで「低湿地、沼地」を意味します。そうすると、スワンプマンは「沼男」という意味になりますね。

沼から男が這い出てくる場面を想像すると、なんだか不気味です。単語の意味としては、そのまま「沼男」で間違いありません。

スワンプマンは、ある思考実験の話に出てくる登場人物なのですが、いったいどのような内容の思考実験なのかとても気になりますよね。

スワンプマンが思考実験の中でどのような意味を持つ言葉なのか、いっしょに見ていきましょう!

スワンプマンの意味を解説!

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スワンプマンとは、いったい何なのでしょうか?

そのままの意味で直訳した沼男という言葉だけ聞くと、映画や漫画に出てくる妖怪か怪人のようで想像を掻き立てられますよね。まず、スワンプマンの基本的な意味などを解説していきます。また、そもそも思考実験とは何かや関連する言葉を紹介します。

【1】スワンプマンとは?

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スワンプマンは、哲学の分野のある思考実験でつかわれる話に登場します。

ある男がハイキングに行きました。しかし男は沼の近くで突然雷に打たれて死んでしまいます。そして、同じ時その沼にもう一つの別の雷が落ちます。その落雷は沼の泥と化学反応を起こし、死んだ男と全く同じ同質形状の生成物を生み出してしまいました。

この落雷によって生まれた新しい存在のことを、スワンプマン(沼男)と言います。スワンプマンは原子レベルで死ぬ直前の男と全く同じ構造をしており、容姿までも全く同一です。

またこのスワンプマンの脳の状態(死んだ男の生前の脳の状態)は死んだ男のものを完全にコピーされたものなため、記憶も知識も全く同じものを受け継いでいます。

沼から出たスワンプマンは、死んだ男の生前の姿で街へ帰り、死んだ男が住んでいた部屋に帰ります。スワンプマンは、まるで死んだ男本人のように死んだ男の家族に電話をし、死んだ男が読んでいた本の続きを読み、部屋で就寝します。

ちなみにスワンプマン自身は、自分自身を死んだ男本人だと信じてやまない状態で存在しており、落雷に打たれたものの奇跡的に助かったという認識でいます。

そして翌朝、スワンプマンは、死んだ男が勤めていた職場へ当然のように出勤するのです。いかがでしょうか?少し不気味な話ですよね。

このスワンプマンの思考実験は「スワンプマンと死んだ男は同一人物か」を探っていく、いわゆる同一性に関する内容です。

【2】思考実験とは?

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思考実験とは、道具等を使わず、頭や理論の中だけで行うことができる実験の事です。「ガリレオの脳」や「世界五分前仮説」等が例に挙げられます。

科学の基礎原理に反しない限度で、きわめて単純で理想化された状況が前提になります。その状況を頭で想像し、問いを重ねていきながら答えを求めていくことで、哲学的な気づきや事物に関しての本質が見えてくる構造になっている実験です。

頭の中だけでできる実験なので一人でも実験が可能ですが、思考実験について何も知らない人相手に、問いをぶつけて考えてもらうのも面白いですね。

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scpという言葉を知っていますか?意味としては、「secure(確保)」「contain(収容)」「protect(保護)」の頭文字を取ってscpと名付けられた「自然法則に反した異常な存在、場所、物体、現象」を表すそうです。つまり、scpは確保・収容・保護されるべき存在という意味です。

実は、scp財団というこのscpを扱うという設定の架空の団体がネット上にあります。架空の団体なので、実際には存在しないのですが公式のホームページがあり、まことしやかに様々なscpの存在を紹介しています。

scp財団のホームページで、紹介されているscpの中にスワンプマンに似た日本人男性についての記述がありました。

「SCP-916-JPは日本人男性に見える人型存在です。████氏が新潟県妙高市の交通事故で死亡したその二時間後、████氏を名乗る男性が山形県山形市の交番に保護を求めた事で財団に発見されました。

████氏の遺体が存在しているにも関わらず、山形市に現れた男性は████氏とDNA、身体的特徴、所持品が完全に一致しました。記憶に関しては、自身にぶつかりそうになったトラックを目撃した部分まで有しており、衝突の瞬間は記憶になく、突然池の中に移動したと証言しています。

SCP-916-JPは通常の人間と変わりない身体構造ですが、死亡した際にその異常性が発揮されます。SCP-916-JP(SCP-916-JP-1)が死亡すると、離れた地点に生前のSCP-916-JP-1と同一個体(SCP-916-JP-2)が発生します。

SCP-916-JP-2の発生の際、発生場所において同体積の固体又は液体が消費されますが、消費される物質に関わらずSCP-916-JP-2はSCP-916-JP-1と同一の組成である事が判明しています。SCP-916-JP-2は、所持品を含みSCP-916-JP-1が問題無く生存していた直近の状態で発生します」

http://ja.scp-wiki.net/scp-916-jp

スワンプマンの話と少し似ていますよね。scpは実在の存在ではありませんが、言葉の意味としてはスワンプマンもscpの一つといえるでしょう。

スワンプマンの思考実験の概要を解説

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ここから、スワンプマンの思考実験について説明していきます。どのような実験なのでしょうか?この実験の意味についても解説します。

【1】スワンプマンの思考実験

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落雷で死んだ男と、そのすぐそばの沼に落ちた別の落雷から生まれた死んだ男そっくりのスワンプマン。この二つは、同一人物なのでしょうか?

この問いを考えていくと、以下のような問題が浮上してきます。

人間は新陳代謝をしますから、昨日の細胞は今日新しい細胞に生まれ変わっています。そのことを踏まえると、昨日の自分と今日の自分は別人だと考えることもできますが、スワンプマンはどうでしょうか?

また、テセウスの船というスワンプマンと似た説があります。

船が壊れる度に修理をしていくと、元々備わっていた部品を交換したり塗料を塗り替えたりするなどして、もともと使われていた材料はその船からなくなっていってしまいます。

修理を行い続けて、もとの材料がなくなった状態の船は修理前の船と同じものといえるでしょうか?違う船になったというのなら、どの時点から違う船になったというのでしょう?

それに、船を造るためには設計図や職人が存在しますが、原型を造った時と同じ職人が元々の設計図にもとづいて全く同じ状態に修理していった場合はどうでしょうか?元の船と同一であるという考え方も、間違いではなさそうですよね。
人間の体には、もちろん設計図はありませんが、DNAがその設計図のような役割を果たしています。新陳代謝についての意見も同じ理論で否定することができますね。

しかし、船の例についても人間のDNAの例についても捉え方は人それぞれなので、絶対にこうであると確定することができません。

それにスワンプマンに関しては、新陳代謝などの自然な経過や人為的につくられた設計図がもとになって生まれたわけではなく、突発的に偶然発生したものです。

このように様々な考察をしていくスワンプマンの思考実験ですが、なかなかはっきりとした答えを出すのが難しい問題なのです。

【2】思考実験の意味

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スワンプマンの思考実験は、アメリカの哲学ドナルドデイヴィッドソンが、1987年に論文『Knowing One’s Own Mind』で言及したことが最初だそうです。

スワンプマンと似たような説を唱えた者はそれまでにも複数人居ましたが、喩え方や話が面白かったためかこの「スワンプマン」の説が最も広まっているようです。

「思考などの心の状態や発話の内容を主体がその時とっている内的な状態だけでなく、来歴にも依存するものとして捉える彼の理論への可能な反論として提唱された。ルース・ミリカンの目的論的意味論などの同じく歴史主義的・外在主義的な志向性や内容の理論への反例としても論じられる」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%9E%E3%83%B3#cite_note-1

上記の説明は少し難しいですが、思考や気持ちはその人自身の内的な状態だけでなくそれまでの経緯にも関係していますよという考え方に対する反論としてスワンプマンの説が提唱されたそうです。

後半で述べられている外在主義というのは、「~すべし」という道徳的な言葉には、 そのようにする理由が含まれていないとする立場です。スワンプマンの説は、このような説への反例としても用いられます。

スワンプマンの思考実験からわかることは?真相まとめ!

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スワンプマンの思考実験は、結局のところ「自分とは何か」という部分に意味を持つ思考実験です。

スワンプマンと死んだ男は、同一人物であるかについて絶対的に正しいとされる唯一の答えはありません。大まかにいって、物事の考え方にどのような主義をとっているかによって、スワンプマンについての最終的な答えが変わってくることが多いようです。

物理主義の人は、身体や脳の状態が同じだからスワンプマンと死んだ男は同一人物であるという答えを出します。

観念主義の人は意識を大事にするので、それぞれ意識や自我が独立しているためスワンプマンとは別人であるといいます。

歴史主義の人は、物事の過程を重要視します。なので、死んだ男と直接関連した経緯がないスワンプマンを別人であると判断するのです。

スワンプマンの思考実験を行うことによって、被験者が自身のどこにアイデンティティを見出しているのかがわかります。

肉体そのものを自分自身と認識している人、感情や意識に自分自身の意味を見出す人、自分が辿ってきた過去を自分自身の軌跡として重要視する人など、アイデンティティの認識の仕方は人それぞれです。

スワンプマンの思考実験について、どの考え方が一番正しいのかは決まっていませんが、ありえないような特殊な想像の世界について深く考えていくことで、哲学的な問いや意味の話にまで発展させることができるのが思考実験のすごいところです。

スワンプマンの説を唱えたこのドナルドデイヴィッドソンは、唯物論者でした。だからこそ、アイデンティティという目に見えないものに対して興味を持ち、スワンプマンを例にして唯物論者なりにアイデンティティに形を見出そうとしたのかもしれません。

スワンプマンの思考実験は、私たちのアイデンティティのあり方に気づかせてくれる意味を持った思考実験なんですね。

スワンプマンの思考実験まとめ!

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今回は、スワンプマンの思考実験について解説していきました。内容としては、少し不気味な思考実験でしたが哲学的で大変意味のある思考実験でしたね。

この思考実験は、基本的には「死んだ男」が主人公とされていますが、「死んだ男」がもし自分の大切な人だったら、などと考えると答えや意味が変わってくることもあるようです。

もしも、あなたの大切な人が落雷に打たれて死んでしまうのを目撃した後、すぐそばに別の落雷が落ちたことで大切な人とそっくりな存在が生まれてしまったら、その存在を死んでしまった大切な人と同一人物として接することができるでしょうか?

多くの人は、死んでしまった大切な人と同一人物だとは思えないでしょう。その人の何がその人たらしめているのかは、周囲の人の感性や受けとりかたにもよるのかもしれません。

また、スワンプマンの説を提唱したドナルドデイヴィッドソンがもともと唱えたスワンプマンの話では、スワンプマンは沼から直接発生したのではなく、沼に浮かんでいた流木が落雷に打たれ、スワンプマンになったという流れがあるのです。

このような話も考慮すると、また違う考えが浮上してくると思います。

実は、あの有名な国民的アニメに登場する「どこでもドア」にも、スワンプマンの説と似た話があります。実は、どこでもドアを通ると通った人のオリジナルは消滅し、その人と同一ではあるものの別の存在が生まれるのです。

なので、どこでもドアを通ったほうの自分はオリジナルではないということになります。

なんだかスワンプマンの説と似ていますよね。どこでもドアを通ったほうの存在は、通る前の人と同一人物なのかというスワンプマンの話と同じ意味を持つ思考実験が出来るのです。

スワンプマンの思考実験は「自分とは何か」や「アイデンティティとは何か」についての意味を持つ思考実験でした。また、被験者の思考の主義がわかるという意味を持ってもいましたね。

この思考実験を機会に、自分は自分自身のどこにアイデンティティを感じているのか考えてみても面白いかもしれません。

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