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火事など、外からの影響を受けて人間が燃えることはあっても、人体から発火するというのはめったに起こることではありません。人が突然燃えるということは信じがたいことですが、世の中には人体自然発火現象だとされる焼死事件が起こることがあるようです。
特に、人間の体は1000度以上にならないと燃えないといわれています。また、人体発火した様子が直接映像に収められたことは一度もありません。
そのため人体自然発火現象は、心霊現象やUFOなどと同様に、昔から賛否を巡って議論が繰り広げられてきました。世界で最初に人体発火が起こったのは1663年、フランスであったといわれており、絵画などの題材にもされるほど、その歴史は長いのです。
この記事では、世界各地の人体自然発火の発生事例をご紹介するとともに、現在考えられる人体発火現象が起こるメカニズム、人体自然発火現象否定派・肯定派の意見などを合わせてご説明します。
人体自然発火現象の発生事例を紹介!
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まずは、世界各地で起こった人体自然発火現象をいくつか見ていきましょう。実は、人体自然発火現象はイギリスでよく事例が報告されているようです。また、アジアよりも、欧米での事例の方が圧倒的に多いといわれています。
なぜ地域による偏りがあるのか原因は不明ですが、各事例ごとに共通点があるのか、ということも含めてご紹介します。
【1】2010年:マイケル・フェアティ(アイルランド)
絶対に明かされない
世界の未解決ファイル99ファティマ第三の予言からチュパカブラまでhttps://t.co/5jP0ZgOKIL
マーシー・ブラウン吸血鬼事件、コラレス島UFO事件、マイケル・フェアティの炎上— kayo (@kayo500) December 11, 2015
1つ目は、アイルランドでの事例です。亡くなったのはマイケル・フェアティという76歳の老人で、警察、検察官なども口をそろえて、「人体自然発火でなければ、このような死に方はあり得ない」と言ったと言います。
その亡くなり方は、遺体は黒焦げであったのに、その遺体の周囲で燃えているのは床と天井だけだったというのです。火元も見つからず、殺害された凶器に当たるものも見当たりません。
暖炉は近くにあったと言いますが、それが彼の直接的な死につながる原因ではないと判定され、死因は説明不可能な、人体自然発火という他無くなってしまいました。
【2】2015年:新生児(インド)
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インドのパランギニ村というところで、生後7日の新生児が人体自然発火で大やけどを負ったという事例です。この新生児には、同様に人体自然発火でけがをした兄がおり、2年前入院しているというのです。
人体自然発火だと主張しているのは母親で、遺伝的なものであるかの確認はとれていません。幼児虐待である可能性も残り、人体自然発火が起こった特別な事例であると断定できない状況であると言います。
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アメリカ・ペンシルベニア州に住む医師であるジョン・ベントレー氏も、人体自然発火で亡くなっています。彼は当時92歳で、自宅の地下で焼死体となって発見されました。
彼の遺体は右のすね下のみがマネキンのような色と形で残っており、それ以外は灰になっていたというのです。彼の死体は写真が残されており、脚だけが残った悲惨な様子を見ることができます。
【4】1951年:メアリー・リーサー(アメリカ)
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フロリダ州のメアリー・リーサーも人体自然発火の被害者の一人です。67歳の女性で、完全に体が燃えてしまったあとで大家に発見されました。
彼女の場合で特徴的なのは、彼女の燃えた後には骨が残っており、頭蓋骨は拳ほどのサイズに委縮していたというのです。骨がそのような状態になるまで強く燃えるということは、一般的な火事ではあり得ないと言います。
アパート内で他に燃えた部屋は無く、【1】の事例と同様、人体自然発火としか言えない状況になっていたということです。
【5】ヘレン・コンウェイ(アメリカ)
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彼女は、人体自然発火現象の中でも、もっとも典型的な燃え方をした女性です。しかも、燃えてしまった時間は、たった6分間であったと言われています。
彼女は椅子に座ったまま、膝から下を残してすっかり炭になってしまったのです。足が残っているというのは【3】の事例に通じる点がありますし、6分間で燃え切ってしまうというのも、強い火力が想像されます。
人体自然発火現象だと認定されるときに多い点がそろっている事件だと言えるでしょう。
日本でも人体自然発火現象は確認されている?
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日本では、人体自然発火が報告された記録はありません。
日本では湿気が多いから自然発火自体が起こらない、などという推測もされています。しかし、いずれにせよ、欧米で起こりやすい原因と同等に、日本では人体自然発火が起こりにくい原因も全く明らかになっていません。
もしくは、本当に起こっていないのではなく、日本で人体自然発火と考えられる焼死事件が起こっても、一般人が知ることができないように管理されているのかもしれません。
特に人体自然発火現象は、殺人などの事件性がない状態で、人体自然発火としか結論づけられない場合にだけ、人体自然発火現象であったことにするという、いわば結果論にすぎない認められ方をされ、人体自然発火現象として報告される例が多いです。
そうした不透明な事件を、当局が世間に発表することはないでしょう。そのように考えれば、本当に日本で人体自然発火現象がない、とも言いきれませんし、裏を返せば日本人体自然発火現象が起こったとも、全く言うことができないのです。
人体自然発火現象のメカニズムとは?
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人体自然発火現象について、様々なメカニズムが検証され、諸説として流布しています。そのメカニズムのうち、いくつかを取り上げていきます。
【1】人体ロウソク化現象
『人体自然発火:ロウソク効果』
人体ロウソク化現象とも呼ばれ、衣服などを着けた状態の死体を閉め切った屋内に放置しておくと、照明や暖房といった物を熱源として布などが燃え始め、次第に人体の脂肪分を燃料として更に燃える現象。https://t.co/6gyiQGiECJ— 謎ペディア (@NazoPedia) July 30, 2019
まず、人体自然発火現象のメカニズムと言われて、もっともよく登場するであろう現象がこの現象です。これはその名の通り、人体がロウソクのようになって、体ごと燃えてしまうというものです。
人体に何らかの原因で火が付いた場合、その火が人間の皮膚を燃やしたり、裂いたりして脂肪をむき出しにさせ、その脂肪を溶け出させます。溶け出した脂肪が周囲にしみこんで、燃料の役割を果たしてよく燃える、という仕組みです。
この様子が、ロウソクが燃える様子と共通しているので、人体ロウソク化現象という名前がつけられたのです。
これについては、豚を使った実験も行われており、人体自然発火現象で起こりやすい、
①強い火力で燃える
②被害者の周囲しか燃えない
③足が残る
という特異な状況が再現できると言います。燃える時の温度は930度にも達し、人体が燃えるのに十分な温度も記録されています。再現性の可否は定かではありませんが、実験が行われたということで、ある程度の信ぴょう性がある解説であると言えるでしょう。
しかし、人体自然発火現象の全ては、このメカニズムでは説明しきれません。なぜなら、これはもともと火が点けられた人体が起こす現象の解明であって、発火する時点の仕組みまでは含んでいないからです。
【2】アルコール大量摂取説
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ここからは発火の時点についての仮説をご紹介します。
まずは、アルコールを大量に摂取したことによる発火説です。こちらもその名の通りのメカニズム解明の説です。これは、分解しきれないほどのアルコールが体内に残り、それが発火するという説です。
しかし、これは説明がつきにくいでしょう。なぜなら、アルコールは確かに燃焼しやすいですが、火気がないと燃えないからです。
人体発火の原因となるならば、体の中でアルコール以外の要因によって火が起こらなければなりません。それが体内のアルコールを燃焼させるなら説明できますが、その火が起こるメカニズムも一緒に説明されていない以上、仮説としては成り立たないでしょう。
そのため、これも発火の時点の仮説であるかと思いきや、もっとも最初の時点は捉えることができていない説だと言えます。
【3】リンによる発火説
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心霊の場面では欠かせない火の玉も、実はリンが原因となって起こる現象であるというのはよく言われています。
このリンは、動物の糞尿など、自然界に存在するため、何らかの原因によって人体に近づき、人体発火を引き起こしているという仮説です。戦時中には白リン爆弾など、人体を燃焼させ得る爆弾も開発されています。しかし、発火の時点をこちらも完全に説明することはできません。
なぜなら、発火するほど大量のリンが体中に存在することは考えにくいからです。さらに、リンが原因ならば、欧米にばかり人体自然発火現象が起こることが説明ません。
人体自然発火現象は嘘?本当?
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ここまで人体自然発火現象についてご紹介してきました。これが本当であると証明するのは、科学的な証拠がそろっていないことや、映像として残っていないことなどから、簡単ではないでしょう。
しかし、500年も前から人体自然発火現象は議論され続けているのです。両者ともに何らかの正当性がなければ、議論は起こりません。ここからは、その両者の主張に注目して、人体自然発火現象について考えます。人体自然発火現象の真偽を確定させられる可能性はあるのでしょうか。
人体自然発火現象の否定派の主張まとめ。
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人体自然発火現象を否定しているのは、他でもない、大学で学問に従事している科学者たちです。
彼らが人体自然発火現象を一切認めていないことは、人体自然発火現象に関する論文がほとんど発表されていないことからも明らかです。彼らの意見に賛成する人たちも、当然否定派に分類されるでしょう。
その主張は簡単で、科学的根拠が見つけられないからです。この項目以前に書いたように、人体自然発火現象については様々な仮説が立てられていますが、それらは学問的な仮説としては全く体を成していません。
素人目に見ても反論できる点も多く、たとえ仮説のいくつかが組み合わさって起こったとしても、それを検証する術がありません。だから、科学的に検証しようとしても不可能である、よって人体自然発火現象はあり得ないと主張できるのです。
人体自然発火現象の肯定派の主張まとめ。
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科学的な論拠がないということは、完全に人体自然発火現象がないとしてしまってもよさそうですが、そうとは言い切れません。人体自然発火現象の肯定派の主張の中心となるのは、科学的な説明がつくことだけが真実ではないということです。
人体自然発火現象の事例でも、現場を検証しても、人体自然発火現象が起こったとしか状況が説明できない場合のみ、「これは人体自然発火現象である」と認められることが多いです。そのような時、メカニズムが判明していないからと言って、本当に人体自然発火現象が起こっていないということを断定することができるでしょうか。
例えば、天動説が地動説に覆されたように、その時代では正しく証明できたと思われていることも、時代が進んで否定されることはあります。まだ我々人類が科学的に解明できないレベルの現象が起こっていて、その結果が人体自然発火現象であるとしたら、と考えるのが人体自然発火現象の肯定派の主な主張であると言えるでしょう。
心霊現象や都市伝説の醍醐味は、このように将来的にはこれが科学的に証明されるかもしれない、と期待できることであるとさえ言えるかもしれません。
人体自然発火現象肯定派が存在し、時折人体自然発火現象としか言えない事件が起こり続ける限り、議論は存続するでしょう。それも新たな世界的な発見につながる可能性をつぶさないということであると言えます。
人体自然発火現象の真相は?
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人体自然発火現象は、古今東西、様々な事例が確認されることが分かりました。しかしそのメカニズムはいまだ明らかでなく、憶測に近い仮説が多く存在しています。
ここまで確認してきたような様々な理由から、現在は完全な人体自然発火現象は科学者たちからは認められていません。しかし、実際に起こった事件の中には人体自然発火現象であると断定するしかないものもあり、そのような事件が今後もある以上は、議論は続くいていくことが考えられます。
特に、実際にその目で人体自然発火現象の現場を見てしまったというような人が、今後は出てくるかもしれません。現代はスマホもありますから、人体自然発火現象の一部始終を示す映像が取れてしまった場合は、検証もこれまで以上に詳しく行われることでしょう。
現在真偽のほどは定かではありませんが、10年後、30年後の結論が気になる都市伝説だと言えます。