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香典とは、不祝儀袋に現金を包み、お通夜や告別式に参列するときに持参するものです。
香典を送ると一言で言っても、香典を送る際には知っておくべき大人のマナーがたくさんあります。
配慮しなければならないこと、明確な決まりがない香典の相場、香典袋の書き方や選び方やその理由、お札に関する配慮や香典袋への入れ方、意外と知らなかったことが多いかもしれません。
20代、30代、40代などの若い世代は、結婚式にお呼ばれすることは多くても、お通夜やお葬式に参列することは少ないですし、正直ないに越したことはないと考えています。
お祝儀については知っていても、香典に関しては知らないこと多くありませんか?
いずれ避けられない別れはきてしまいます。故人の見送りとなるお通夜やお葬式、失礼のないように香典を送り、気持ちを込めて故人を見送りたいですね。
香典を包む際の相場、香典を送る理由、お札のマナーなどを中心に解説していきます!
香典を送る理由は?
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“香”の字は、故人に線香や花を供えていたことを現しています。
香典を送る理由としては、急な不幸で出費があることへの助け合いという意味が込められています。
本来、香典は「故人にささぐお香をお求めください」と助け合いの意として包まれるお金のことです。つまり、分かりやすい理由のひとつとして、「これでお線香を買ってください」という意味が込められているのです。
所説ありますが、昔の香典は現金ではなく食料を持ち寄っていたと言われています。
“喪に服す”という言葉のように、人が亡くなると遺族は“穢れや災いを避けるため”に家に籠らないといけない風習がありました。
しかし、僧侶や故人を送るために訪れる人に食事や飲み物を出さなければなりません。急な不幸で、食料のストックなどは当然ありませんし、穢れや災いを避けるために家に籠らなければなりません。
これらの理由などで、遺族の負担を軽くするために香典として食料を持ち寄っていたと言われています。
昔ながらの助け合い精神、時代特有の持ちつ持たれつ精神の相互扶助が代々続いていき、現在はお香やお花、食料などではなく、金品を包む香典が主流となっています。
決して安くはない香典ですが、「遺族の負担を軽くする」ことが香典を送る理由だと知っている場合と知らない場合とでは、香典に込められる気持ちが強くなったような気がしますね。
香典の相場の金額は送る人によって決まる!
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香典として包む具体的な金額は実際には定められていません。
故人との関係によって決めるのが一般的で、関係が深く(親族、恩師、親友など)なればなるほど高額になります。
金額の相場に関する具体的な理由については、はっきりとは分かりませんでした。
具体的な理由はありませんが、おそらく日本人の歴史にあるのかもしれません。日本は自助・共助・公助に順に福祉が定められています。すなわち、香典は葬儀を執り行うための共助、ということです。
さらに歴史を遡ると、村八分が行われていたころまで遡れるでしょう。
近所の方々が協力してくれる村八分の残りの二分は葬儀と火事です。火事が起きて協力する理由は、消火を行わなければ自分たちの家なども燃えてしまうからです。葬儀の場合は、亡くなった魂が村八分を行った人々や村を呪わないように、穢れや災いを広げないために、食料などを持ち寄り葬儀の協力をするのです。
葬儀と香典はほぼワンセットです。そのため、葬儀が必要な理由と香典を送る理由はほぼ同じだといえると思います。
親族の葬儀であればあるほど高額になっていく理由は、おそらく自助、共助の点にあるのではないでしょうか。香典が親族だと高額になる理由は、「家族は助け合うもの」で、祖父母、父母、自分たち、子どもたちのように、4世帯前後が近くで暮らし、助け合っていた時代の名残かもしれませんね。
香典の相場【両親】
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約5万円~10万円
両親に香典を出すのか疑問に思う人もいると思いますが、喪主以外の子どもは香典を出します。
子どもが香典を送る理由として、もちろん「お香をお求めください」の意もありますが、金額が大きい理由としては「親族で急な不幸の出費を“助け合う”」という意味が込められています。
20代や社会人になったばかりなどの場合は、大きい金額を包むのは難しいかもしれません。親族で相談し、都合のつく金額を包むようにしましょう。
金額はあくまで相場ですので、自分自身の生活状況、身の丈にあった金額を考慮しましょう。
生活が苦しいことになってしまえば、故人も心配で成仏できないかもしれませんね。故人への気持ちを大事にして香典を送りましょう。
香典の相場【祖父母】
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約2万円~5万円
親に扶養されている子ども(祖父母から見た孫)であれば、親が香典を出すため孫は香典を出さないというのが一般的な考え方です。
ですが、社会人になっている孫の場合は、香典を出すべきだと言えます。
繰り返しますが、香典は「お香をお求めください」という意味が込められています。孫が香典を出す理由は、線香代を含む葬儀代と解釈してください。
例外として、孫が喪主を行う場合は香典は出しません。
しかし、同居していても喪主を行わないといった場合、働いているのならば香典を出すという考え方が一般的です。
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引用: Pixabay
約2万円~5万円
親密具合によって変動しますが、きょうだいの参列の場合、香典の金額はおおよそ2万~5万前後とされています。
きょうだいが他にもいる場合、香典の金額は相談して統一してもいいでしょう。
香典の単位は“家”となっています。そのため、遺族の代表として葬儀を執り行う喪主が香典を出すと、“香典が重複”してしまうため、喪主は香典を出しません。
既に家を離れた場合でも、喪主として葬儀を執り行う場合は“家の喪主”となるので香典は出しません。
孫が祖父母の葬儀の喪主をした場合も、兄弟姉妹が喪主をした場合でも同様のことが言えます。
香典の相場【仕事関係・恩師】
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約5,000円~2万円
仕事関係の場合や級友などの場合、連名で香典を包む場合もあります。
その場合はおおよそ3,000円前後ですが、故人との関係を配慮し個人での香典を送る方がいい場合もあります。
直属の上司や卒業後も交流・親交のあった恩師など、自分自身の裁量によりますが、お世話になっていた時期が長かった、親密だったなどの場合は連名を辞退し、個人で香典を送るといいかもしれません。
香典の相場【友人・ご近所】
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・友人・知人・隣人 5,000円~2万円
・顔見知り程度 3,000円~1万円
友人・知人・顔見知りの判断基準が難しいですが、自分自身が故人との関係をどのように感じているか、で判断すればいいかと思います。
判断に困ってしまって包む金額に悩んでいるのであれば、5,000円前後を香典に包んでいれば無難ではないかと思います。親友やお世話になった隣人、定期的に会っていた友人などであれば、1万円前後が良いかもしれません。
故人との関係の親密さや、故人の年齢や立場(役職や恩師など)によって香典の金額も変動しますので、提示した金額はあくまで目安としてお考え下さい。
香典の金額は高ければ良い、というわけではありません。
というのも、香典を送られた遺族(喪主)は香典返しとして、香典を送ってもらったこと、故人とのお別れに参列してくれたことへの感謝を参列者にお返しするのです。
香典返しの相場は、香典の1/3と言われています。
そのため、高額すぎる香典は喪主の負担になってしまう可能性があります。
もう一つの理由として、葬儀の参列をする側になった時、送られた香典の金額を参考にして香典を包みます。あまりに高額すぎると相手側の負担になってしまうため、金額の配慮が必要となってきます。
香典袋の書き方は?
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香典袋の書き方ひとつとっても、実は様々なマナーがあります。
香典袋に記入する事項は、個人の香典の場合は名前・金額・住所です。
連名や夫婦で包む場合は記入事項が増えますので、併せてご紹介いたします。
香典袋の選び方【宗派・宗教にならって選ぶ】
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香典袋の選び方ですが、宗教・宗派/香典に包む金額によって最低限選び分けてください。
遺族から亡くなった連絡を受けた際に、相手の宗派や宗教の確認が出来れば、宗派や宗教に合わせた表書きの香典袋を用意してください。
・仏式 御香典/御香料/御霊前(浄土宗)御仏前(浄土真宗)
・神式 玉串料/御神前/御榊料
・キリスト教式 御花料/御霊前
・無宗教 御花料/志
宗教や宗派を聞いていない場合は葬儀会場などで判断をしますが、どうしても分からない場合は“御霊前”と書かれる場合が多いです。
香典袋の選び方【香典に包む金額で選ぶ】
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香典袋の選び方で特に重要なのは、香典に包む金額と香典袋のバランスです。見栄えが良いからと、豪華な香典袋を選び、包まれている金額が安いと逆に失礼に当たります。
・~5,000円前後 水引が印刷された香典袋
・1万円以上 実際の水引がついた香典袋
・5万円以上 双銀の水引がついた香典袋
あくまで目安ですが、水引のついた香典袋か印刷された香典袋かの区別はつけ、包む金額に見合った香典袋を選ぶようにしましょう。
【外包み表の書き方】
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・個人の場合 水引の上部に宗派・宗教に合わせた表書き ↓
下部に薄墨で表書きより小さめのサイズでフルネームを書きます。
・夫婦での参列の場合 一般的に夫の名前だけで大丈夫です。
夫婦ともにお世話になったなどの場合は、夫の名前の横に妻の名前を書き連名としても良いでしょう。
・複数人の場合 連名で香典を包む場合、3人まではそれぞれの名前を横に並べて書くことができます。
4人以上で香典を包む場合は、名前の部分を「○○一同」といった書き方にします。
・会社の部署など、複数名で包む場合 「○○有志」「○○会社○○課一同」のように、一同の名称だけを書きます。
会社で香典を出す場合には、会社名と役員の場合は役職を併せて書きます。
【外包み裏】
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中包みがない場合は、外包みの裏面・左下に、差出人の住所と金額を書きます。
(中包みがある場合、外包みの裏面は何も記入しません。)
【中包みの書き方】
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中包みには、住所、名前、金額を書きます。
中包み表面の真ん中に金額 ↓
裏面の左下に住所と名前を書きます。
金額の書き方ですが、「金 ○○円」と縦に書きます。
金額を書く際の注意として、【1・壱/2・弐/3・参/5・伍】【10・拾/100・百/1000・仟/10000・萬】のように、漢数字ではなく大字を使います。
お札の入れ方は?
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香典を包むお札にも、大事なマナーがあります。
お札の向きや上下、お札の枚数など、配慮が必要となっています。
【新札は避ける】
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結婚式などのご祝儀の場合、新札が良いとされますが、香典の場合は新札は避けるのが良しです。
新札を避ける理由として、「不幸を予期し、あらかじめ用意していた」ように思われてしまうからです。
気にしない人もいますが、年輩や厳しいお家の場合、新札だと不快に感じる方もいるので、配慮が必要でしょう。
逆に使い古したようなお札が正解かというと、そうではありません。新札しかない!という場合は、両替してもらうか、折り目を付けて香典袋に包みましょう。
【お札を入れる向き】
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明確なルールが存在するわけではありませんが、お札の向きにもマナーが隠れています。
最低限のマナーとして、どこでも共通しますが、お札の向きは絶対に揃えましょう。
・人物は封筒を開けた下向きに。
・お札の向きは、人物が書かれている面を裏に。
香典袋の裏側に人物が書かれている面(お札の表面)が来るようにします。つまり、香典袋の表側に建物等のお札の裏面が来るようにするということです。
悲しみで顔を見せられない、と覚えておいてください。
香典で包むお札の枚数にも注意が必要です!
【1・3・5・10】枚が相場とされており、偶数は割り切れるため「縁が切れる」と気にする方もいるので、お札の枚数にも最低限の配慮が必要です。
同じお札で揃えることが良しとされていますが、例えば2万円を包む時には1万円札と5,000円札を2枚にするなど、お札の枚数を奇数にする配慮をすると良いでしょう。
失礼のないように香典を送ろう!
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香典を送る際の最低限のルールやマナー、相場に関してご説明しましたが、縁起の悪い数字にも配慮をしましょう。4や9などの数字は、ホテルや病院での使用を避けられるほど縁起の悪いものだとされています。
しょせん“縁起”かもしれませんが、死・苦を連想させるような数字をわざわざ使う必要はないでしょう。日本人は特にこういった“縁起”を気にしますし、故人を弔う場でわざわざ連想できる数字や振る舞いは当然ながらにマナー違反です。
香典に包む金額に相場などはあっても、明確な決まりはありません。
・生前の故人との関係の深さ
・自分の年齢や社会的状況、立場
・故人に対し置かれている自分の立場(親族、恩師、親友など)
これらによって、香典の金額等は考慮しましょう。
とはいえ、あくまで相場は相場にしかなりません。自分自身の身の丈にあった金額を包むことが何よりでしょう。
本来の香典の意味を理解し、故人を供養、見送る気持ちを込め、伝えることが一番だと思いませんか?