日下部和博容疑者の親兄弟、テレビの前でお詫びせよ。 pic.twitter.com/PgGf5D1nTU
— 阿井上男 (@ai_ueo01) January 1, 2019
2019年1月1日の元旦、年が明けて間もない午前0時15分ごろ通行人が行き交う竹下通りに軽自動車がつっっこみ次々と人をはねました。
被害者は19~51歳の男性ら8人にのぼり、そのうちの19歳の男子大学生は硬膜下血腫となり意識不明の重体になりました。
犯人はその場から逃走を図りましたが、約20分後に警察官から職務質問を受け犯行を自供しました。
犯人の名前は日下部和博(くさかべ かずひろ)容疑者(犯行当時21歳)です。
彼は犯行に使った車の車内に灯油を積んでおり、自爆する予定だったなどと話しました。
お正月に起きたこの事件は死者こそ出さなかったものの個人による自爆テロ未遂事件だとして世間を驚かせました。
日下部は事件の動機について当初「ワザとやった」「死刑制度に反対するためだ」等の証言をしていましたが、逮捕後には取り調べに対して無言を貫いています。
事件前の行動を調べていくと日下部は大阪で祖母と2人暮らしをしていたということで、高校を中退して以降は引きこもりのような生活を送っており、キレ出すと手が付けれなくなり家族も手を焼いていたと言います。
長い時間社会との繋がりを絶っていた日下部は何を考え思って犯行に手を染めたのでしょう。またこの事件で引きこもりの問題が取り上げるようにもなりました。ネット上では無敵の人といわれる個人によるテロリズムの脅威も話題になりました。
事件の原因や日下部生い立ちに迫っていきます。
日下部和博の生い立ちは?【元旦竹下通り侵入事件】
引用: Pixabay
逮捕された日下部和博はどのような人物だったのでしょう?
学生時代の証言などから人物が明らかになってきました。
【1】大阪府出身
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大阪府枚方市出身であることが判明しています。
小学生時代は運動が得意でマラソンで上位入賞したり、サッカーでは得点を決める生徒でした。
休み時間もサッカーをしている姿を憶えていると同級生は証言しましたが、同時に自分からは話しかけてはこない内気な性格だったそうです。
【2】中学時代
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中学時代の成績は平均ぐらいでしたが、当時のある性格が報道では話題になっていました。
日下部は普段は静かで大人しいそうですが、彼の中のある一定の領域を超えると突然キレ出す性格を持っていたというのです。
逮捕時に住んでいた近所の住民も切れると手がつけられなくなることを知っており、なるべく関わらないようにしていたと証言しています。
逮捕時にはキレた等の報道はなく自ら犯行を自供し逮捕されたそうですが、彼の中では怒りの感情が渦巻いていたのでしょうか。
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引用: Pixabay
高校に進学しましたが、トラブルがありすぐに中退したことが明らかになっています。
この中退理由が何だったのかは調べても分かりませんでした、ここから日下部は引きこもるようになり事件へのカウントダウンが始まっていきます。
当時は家族と暮らしていたそうですが家庭で暴力を振るうようになり、家から追い出され祖母の家に暮らすことになりました。
この祖母宅でも様々な奇行やトラブルが目撃されています。
まず近所の人の証言では家からは「あ〜」とか「う〜」とかいった筒に大声を出しているのような奇声がきこえたり、パン・パンと運動会などで使われるピストルのような乾いた破裂音が聞かれていました。
他の証言では家で爆竹を鳴らしていたという人もいました。
他にも信じられないようなのが集団登校をしている小学生に向かって窓からモデルガンを撃ったというのです。また実家の裏の道に車が止まることを嫌い、車があると「帰れー」と叫ばれ実際に罵声を言われたという人もいました。
推測ですが日下部は長期による外部との接触の遮断により精神的にかなりおかしくなっていたと考えられます。彼は自分の1人で部屋にこもることで偏見や思想に偏りが生じ、それが総じて今回の竹下通り侵入事件に繋がっていったと考えられます。
逮捕時には「殺そうと思い、通行人をはねた。オウムの死刑に対する報復でやった」等の発言をしており、ちなみに調べでは日下部とオウム真理教の間には何の関係もなかったことがハッキリしています。
この発言からも分かるように精神に何らかの不調か病気を抱えていたのでしょう。
【4】事件に向けて免許取得
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彼の中でどのような思いが募っていったのかは分かりませんが、元旦に竹下通りを車で突っ込み通行人を轢き殺すことを計画しました。
逮捕後の調査で念入りに計画して行われたことが分かっています。
まず事件の1ヶ月前に自動車免許を取得していたことが分かっています。高圧洗浄機を購入し灯油を撒いて放火を図る計画を立てました。
12月30日にはレンタカーを借り上京、また当初は明治神宮に向かう初詣の参拝客を狙ったようですが規制がかかって入れなかったため竹下通りに狙いを変更しました。
竹下通りで犯行後は現場から逃走を図っており上野でも事件を起こすつもりだったと証言しており、元旦の夜に人混みを選んで犯行に及びました。
日下部和博の竹下通り侵入事件の概要は?
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【1】竹下通りで暴走
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日下部和博は2019年1月1日年が明けて間もなく、竹下通り130mを軽自動車で暴走し軽8人をはねました。
現場にブレーキ痕は確認されておらず、日下部自身もアクセルを離さなかったと証言しています。
この事件で男子大学生(19)は意識不明の重体。 26~51歳の男性4人が頭部骨折などの重傷、19~29歳の男性3人が打撲などの軽傷を負いました。
【2】灯油を道路に巻く
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日下部和博はその後、事前に準備していた高圧洗浄機で灯油を撒くことを計画しており、逮捕後の捜査で乗っていた軽自動車から100リットルに及ぶ灯油と噴出口に点火ライターを付け改造された高圧洗浄機が見つかりました。
日下部は事件後高圧洗浄機で灯油を撒こうとしたが、うまく撒けずに近くの店舗前に灯油をかけているのが目撃されています。
これを見ていた19歳の男性が日下部に対し「何をしているんだ」と詰め寄りましたが、日下部は男性を殴って現場から逃走しました。
近くの防犯カメラには日下部が現場と反対方向に走って逃げているのが確認されています。
【3】警察から職務質問にあい逮捕
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その後代々木公園付近で歩いている日下部に警察官が職務質問することで逮捕に至りました。
この時日下部からは灯油の匂いがしておりこれに対し不審に思った警察官が声をかけたということです。
日下部和博、犯行動機は受験失敗?【元旦竹下通り侵入事件】
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死者は出なかったものの元旦に起こった個人による無差別な事件は決して許せるものではありません。
日下部和博の犯行動機とは一体何だったのでしょう。
死刑に対する報復?
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日下部は逮捕後の取り調べで「死刑制度を多くの国民が支持していることが許せず、たくさんの人を殺したかった」「殺そうと思い、通行人をはねた。オウムの死刑に対する報復でやった」などの発言をしています。
この事件が起こる前年にはオウム真理教の起こした一連の事件に関わる死刑囚が一斉に死刑執行され、日下部はそのことに対する報復でやったという指摘です。
取り調べではその後は無言を貫いており、それ以後死刑に関しての意見や発言は無くなりました。
死刑制度に反対の主張をするために事件を起こしたのも理解できませんし、それとも彼はオウム真理教を支持しておりそれに対する反発として事件を起こしたのでしょうか。
受験に失敗?
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また日下部は東京に住んでいた時期があり事件現場の土地勘があったと報じられました。
高校を中退した後に東京の予備校のような学校に通っていたそうですが、大学に籍を置いていた等の情報は出ていなかったので大学に通うことは無かったようです。
こういったことから彼は学歴コンプレックスを抱えて事件を起こしたのではないかという指摘があります。
自宅の窓から通学する小学生に銃のようなものを向けていたという証言などもあり、日下部は『学生』という自分が外れてしまったレールを走っている人に妬みをもっており、それが結果として事件を起こしたという意見です。
ネットで話題にのぼる無敵の人とは
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今回日下部和博が無差別な事件を起こして『無敵の人』という言葉がネット上では話題にのぼりました。
これは簡単にいうと『職についていなかったり社会との関わり合いが無く、生きることに対して意味や執着を持っていない人物は犯罪を犯すことに対し何の躊躇もしない人物』ということになります。
インターネット掲示板2チャンネルを作ったひろゆきさんがブログで綴ったことからこの言葉は有名になりました。
大きな事件でいうと秋葉原で通り魔事件を起こした加藤智大も職についておらず誰とも関わらない生活をしていたことが分かっており、無敵の人に当てはまります。
本来であれば事件を起こせば刑事罰を受けるという抑止力があるからこそ、犯罪を抑制できると考えますがこの無敵の人にとってはそのような罰は何の意味もなさず犯罪を止める手立てがありません。
現にこの事件の日下部和博は無差別に通行人を跳ね飛ばし、本来の計画であれば自作の火炎放射器で多くの人を巻き添えにするつもりだったそうです。
これらの犯罪を予想したり予防する手立ては現実的に不可能な状態にあり、まさに今の時代は誰でも個人でテロを起こせる時代または起こしてもおかしくない時代になりました。
精神病を患っていた?
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日下部和博は住んでいた自宅で度々奇声を発していたことが分かっており、逮捕時には事件と無関係のオウム真理教の名前を出すなどしました。これらの特徴から日下部和博は精神病である統合失調症を患っていた可能性が高いです。
統合失調症とは幻覚や妄想などの病的体験が出現して、興奮した時には攻撃的になる傾向があります。また、被害妄想があると、自分がやられるという恐怖や不安が非常に強く、自分を守るためにやり返さなければならないという論理が働いて非社会的に見える行動も自身の中では正当化されていたりします。
今回の事件も長期にわたる引きこもりなどが原因となり統合失調症を発病し幻覚や妄想が自身の中で加速していたという指摘です。
事件の5年前には父親が精神病が原因で亡くなっているという報道もあり、遺伝と精神病についての関係は何も分かっていませんが、子供である日下部和博が患っていたとしても不思議ではありません。
また日下部和博は逮捕起訴されたという報道はされましたが、裁判が行われた記事は見つからずこんなにも長期に渡っているのはそういった精神の病気に罹っているかなどの鑑定に時間を割いているのではないかと考えられます。
ネット上には当初計画していた予定を変更するなど、認知能力があるのだから責任能力は認められるべきなどの責任能力の有無に関してのコメントも多く見られました。
裁判が行われた際には事件当時責任能力があったかどうかが焦点になると思われます。
引きこもりと犯罪について
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日下部和博は高校中退後長期にわたり自宅に引きこもっていたとされており、大人の引きこもりが犯罪に繋がるのではないのかといった問題があがりました。
最近では無差別に人を巻き込む自分勝手な理由での犯罪が増えており、また加害者には仕事を辞めて長期にわたり引きこもっていたや家族以外との関わり合いが無い等の共通した点が見られ、引きこもりと犯罪がセットで語られることが多くなりました。
逮捕された加害者にこのような共通のバックボーンがあるのは事実ですが、そのような引きこもり経験が犯罪に結びつくかというとそれは間違っています。
今回の日下部も引きこもりなどの長期にわたるストレスが原因で精神病を発症し事件を起こす結果になっていたとしても、犯罪を犯す原因や理由というのは加害者個々人によって違っており、引きこもりが犯罪を起こすというのは間違った認識です。
元を辿れば引きこもりになった原因もそれぞれであり、それに対応する周りの理解や努力も必要だと指摘されています。
今回の日下部事件を例にとると、高校中退時に周りにいた友人や家族が何らかのフォローや対応をしていれば事件を起こすようなことには繋がらなかったとも言えます
日下部和博のその後は?【元旦竹下通り侵入事件】
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新年に年が変わってすぐに起きた竹下通り侵入事件は多く人を巻き込み、年が明けたお祝いムードを一変させました。
そして容疑者である日下部は無差別にテロを計画していたという事実にも多くの人が驚きと恐怖を感じました。
彼の経歴が報道されるに従い引きこもりと犯罪について問題視されるようになりました。その後に起こっている殺人事件でも度々容疑者は長期にわたる引きこもりであると報道されたり今や引きこもりは社会問題として語られています。
日下部和博は現在も裁判は行われておらず勾留中だと考えられます。初公判では何が彼の口から語られるのかに注目です。
精神病を患っているなどの指摘もあり犯行時に責任能力があったのかが焦点となりそうです。