哲学の面白い仮説・思考実験・パラドックス30選【眠れなくなる】

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哲学好き集合!

引用: Pixabay

皆さんは哲学に興味があるでしょうか

あると言える、もしくは面白いことをご存知のあなたは、今回の記事で退屈はさせないと思います。また、「哲学なんて興味ない」なんておっしゃっているあなたも、今回の記事で哲学の面白さに触れてもらえれば、「哲学って面白いな」と是非思っていただけることでしょう。

なぜなら、実際に、哲学における、その仮説や、思考実験、パラドックス(逆説)に触れていただくことで、哲学は面白いということに気づいていただけるのではないか。そういった思想が今回の記事のベースになっているからです。

また、有名な哲学者なども紹介していき、それに付随する、上記で挙げた仮説、思考実験、パラドックスの例を並行して挙げていくので、そういった点でも面白いと思っていただけると思います。

例えば、「〇〇って哲学者の名前は知ってたけれど、具体的にこんなことしていたんだ」なんて風に見ていただけると面白いのではないかと思います。そして、面白いだけでなく、この記事を読んで頂いた後、皆さんは哲学に随分と詳しくなっていることでしょう。

それでは、皆さんを面白い哲学の世界へご案内いたします。

 

哲学が面白すぎて眠れなくなる?

引用: Pixabay

「そもそも哲学ってよく聞くけどどんな学問なの?」という疑問がある方もいらっしゃると思います。

また、哲学について「堅そうな学問」「眠たくなる」「理屈っぽい」などマイナスイメージを持っておられる方もいらっしゃると思います。

ですので、そこをまずご説明し、哲学へのマイナスイメージを払拭したいと思います。きっと面白いと思っていただけるはずです。

そもそも哲学とは、様々な定義がありますが、広義的には「知を愛する学問」とされています。そしてその対象は多岐にわたり、経済学や、物理学、心理学など「その学問の知に根差した学問である」と言われています。

つまり哲学は、簡単に言うと、何に関してかは特に決まっていないけれど、とにかく一定の対象に関して深く考えるということと言えます。何か決まっていないとかこの時点で面白いと思います。

要は、哲学に関しては何に対して何を考えても自由だし、その答えは決まったものではないということです。一応哲学も学問ではあるので一定の事象や事物に対して一定の答えは先人達が導きだしているようです。しかしそれが正解には近いだけで、別の側面から見た場合正解とも言えないというような感じの学問なのです。

物理学などは数式によってその答えが明確に存在しますが、こと哲学においては、ある一定の事物、事象に対し、考える人の分だけ答えがあり、非常に自由な学問と言えます。

人間の心に根差しているので、ある意味原始的というか、哲学は歴史も非常に長いです。これだけ聞くと全然堅苦しくないと思えますし、個人差はあるものの、数学や物理学とかよりは面白いのではないでしょうか。

そしてまた、こういった自由度の高さが哲学という学問が面白いと言える理由だと言えます。

だって、定期テストで哲学があったなら、自分の意見を書けば皆が100点満点なのですから。得意も不得意もありません。皆が100点を採れる哲学ってすごいと思います。なぜ、学生時代に哲学がなかったのかが、悔やまれるレベルです。

次項からは実際に先人である哲学者が、どんな面白い仮説を立て、どんな面白い思考実験をし、どんな面白いパラドックスを発見したのかを具体的にご覧いただこうと思います。

 

哲学の面白い仮説10選!

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こちらでは、哲学者と呼ばれる人たちがどんな面白い仮説を立てたのかを具体的にご紹介していきたいと思います。それではご覧ください。

 

哲学の面白い仮説①:【パートランド・ラッセル】世界五分前仮説


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最初にご紹介したい哲学の面白い仮説として、パートランド・ラッセルというイギリスの哲学者が立てた、世界五分前仮説を挙げたいと思います。

ラッセルは、哲学者だけではなく、数学者としても名を馳せた人でした。要は論理立てた思考ができる人物なのです。そのラッセルが立てた仮説はこうです。

世界は5分前に始まったのかもしれない」というものです。

要は、世界が5分前にできたのではないということ、ひいては過去というものが存在することを証明し、示すことはできないが故に、知識とは何なのかという問題にまで発展します。

面白いですが、そんなわけないと皆さんお思いでしょう。だって5分前どころか、それ以前の過去の記憶ももちろん存在するわけですから、しかし、それが5分前に何者かによって植え付けられた偽の記憶だとしたらどうでしょうか。面白い発想ですよね。

ラッセルがその仮説から言いたかったことは「今起きている事やこれから起きることをどれだけ調査しても、それによって過去の出来事を完全に証明または反証する、ということは不可能である」ということのようです。

 

哲学の面白い仮説②:【ニック・ボストロム】シミュレーション仮説


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次にご紹介する哲学の面白い仮説は、ニック・ボストロムによるシミュレーション仮説というものになります。

ニックが提唱したこの仮説は、我々よりもはるかに超越した技術によって我々のみならず、この宇宙さえもコントロールされたシミュレーションによるものであるというものです。

これは哲学的に面白い仮説だと言えます。だって、私たちが現実だと思っている世界が他者によってコントロールされた世界だったらという仮説です。

筆者はこれを見た時真っ先にゲームのRPGを想像しました。もしかするとRPGの中の村人Aはその世界を現実ととらえているかもしれません。しかし、私たちから見れば、ただのゲームです。

そして、自分も実は高度な文明を持つ他者が作り出した村人Aだと考えると非常に面白い部分もありますが、同時に不気味な気分になります。皆さんはいかがでしょうか。

 

哲学の面白い仮説③:【デカルト】デーモン仮説

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次にご紹介する哲学の面白い仮説としてデカルトによるデーモン仮説というものがあります。

この仮説は我々の目に見えるもの、我々が考えることは全て、神のような無尽蔵の能力を持つ悪魔(デーモン)が我々をコントロールしているだけなのかもしれない。というものです。上記のシミュレーション仮説に非常に近似しています。

この世におけるすべての事象は、実は我々が思考した結果ではなく、コントロールされたものだということになります。非常に興味深く面白い意見だと思います。

当たり前に行動していることが実は当たり前じゃないと考えるところから哲学的思考というのは始まるのかもしれません。

 

哲学の面白い仮説④:【ユダヤ教・キリスト教etc】ヤング・アース仮説

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4つ目にご紹介する哲学の面白い仮説としてユダヤ教やキリスト教、イスラム教で信仰されている、ヤング・アース仮説という仮説をご紹介したいと思います。

例えば旧約聖書では、神がその手によりアダムとイブを作り、それが今日に至るまでの人類の祖であるという考えが記載されています。

したがって、その記載を元にし、忠実に考えるとするならば、人類、ひいては地球の歴史などたかだか1万年~数千年であるということになります。これが「ヤング・アース仮説」という仮説になります。

この哲学的仮説を元にして全てを考えるならば、科学的な見地から見た46億年の歴史をもつ地球などの考え方は全面否定されることとなります。これは面白いです。科学と全面対決する様相を見せています。

このようにこの哲学的仮説であるヤングアース仮説は科学的見地と全面的に対立するものとなっています。一体どちらが正しいのでしょうか。こういうところに哲学が面白い理由や、哲学のロマンが詰まっていると言えます。

 

哲学の面白い仮説⑤:【ヒラリー・パトナム】水槽脳仮説

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5つ目にご紹介する哲学の面白い仮説として水槽脳仮説という仮説があります。

この哲学的仮説はヒラリー・パトナムという哲学者によって提唱された仮説で、「我々の脳は実は電極でつながれていて水槽に浮かんでいる。我々の体感している現実は実は水槽内の脳が見ているものである」というものです。

哲学においては、前述のシミュレーション仮説、デーモン仮説など、こうしたバーチャル的発想が仮説として多く挙げられているように思います。

そして、現在バーチャルという言葉は汎用化していますが、それ以前にこのバーチャル的発想が哲学者の中にはあったのだと考えると大変面白いように思います。

 

哲学の面白い仮説⑥:【アメリカ合衆国etc】インテリジェント・デザイン仮説

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6つ目の面白い哲学の仮説としてインテリジェント・デザイン仮説を挙げたいと思います。こちらは、「知性ある何か」によって宇宙を中心とする森羅万象が設計されたとする仮説のことを指します。

この哲学的仮説の非常に面白い部分は、前述のバーチャル的な発想に加え、ヤングアース仮説のような考え方も融合していることだと思います。

やはり、ここまで見ると哲学的仮説を考える際にこのバーチャル的思考と人間を超越した神的存在は必要不可欠なのかと思います。

しかも、それが、世界各国、別に相談したわけでもなく、時期はやや異なるものの同時多発的なシンクロニシティとして生まれているところも実に面白い点なのではないでしょうか。

 

哲学の面白い仮説⑦:【ドナルド・デイヴィッドソン】スワンプマン仮説

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続いてご紹介する哲学の面白い仮説として、スワンプマン仮説というものがあります。

こちらの哲学的仮説は、スワンプマン(沼男)が沼のふちを歩いている時に落雷にあい、絶命、その後、沼へ遺体が消えます。それと同時に、沼からこのスワンプマンと全く同じコピーが誕生します。

この話を前提にしてできたのが、「果たして死んだスワンプマンと新たに生成されたスワンプマンは同一人物と呼べるのかどうか」という仮説になります。この面白い議論についてはいろいろと考えさせられます。

この仮説でドナルドが伝えたい哲学的内容は「自分とは一体何か」ということだと思います。

皆さんも、寝る前に「自分は何のために生まれ、何でこの世界にいるのだろう」と考えたことはないでしょうか。それに非常に似ていると思います。そういうこと考えるのって結構面白いと思います。

と同時に、そういったことを考えたことがある皆さんはすでに哲学への道を進んでいたことになると思います。

 

哲学の面白い仮説⑧:【SF作品etc】生体転送仮説

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8つ目にご紹介する哲学の面白い仮説は生体転送仮説というものです。こちらの哲学的仮説は、ある瞬間移動できる装置に自分が入るとします。

この装置のロジックは、一度、自分のあらゆるデータをコピーし、その後消去。そして転送先にコピーデータが送られ、もう一度生成される。というものです。

果たして、この時転送前の自分と、転送後の自分は同一人物なのかということが議論されます。これが、生体転送仮説というものです。

皆さんの一番身近な例でいくと「ドラえもん」に出てくる「どこでもドア」がイメージとしては分かりやすいのではないでしょうか。

どこでもドアにそんな哲学が隠されていたなんて、面白いし、驚きしかないと思います。次週から見る機会があれば、哲学的視点でドラえもんをご覧になってみても面白いのではないでしょうか。

 

哲学の面白い仮説⑨:【アインシュタイン】ホワイトホール仮説

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次に挙げたい哲学の面白い仮説として、ホワイトホール仮説というものがあります。このホワイトホールとは、アインシュタインによって提唱された全ての物を吸い込んでしまうブラックホールの対義語的なものになります。

要は、ホワイトホールというのは「吸い込む動作」を行うブラックホールに対し、「吐き出す動作」を行うものとなります。また、その定義の中には、ブラックホールで吸い込んだものはホワイトホールにて吐き出される。

つまり、ブラックホールとホワイトホールは対になってつながっているという説もあります。

なぜこのホワイトホール仮説が科学ではなく、哲学的仮説なのかと言うと、面白いことに実は全く科学的根拠がなく、ブラックホールから生まれた思想にすぎないからなのです。こうしてみると「その反対もあるだろう」という思想からこの仮説が恐らく生まれており、非常に興味深く面白い内容だと思います。

 

哲学の面白い仮説⑩:【エドワード・サピア、ベンジャミン・リー・ウォーフ】サピア=ウォーフの仮説

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最後にご紹介する哲学の面白い仮説は、サピア=ウォーフの仮説というものになります。

こちらの哲学的仮説は、「どのような言語によってでも現実世界は正しく把握できるものだ」とする立場に疑問を呈し、言語はその話者の世界観の形成に差異的に関与することを提唱するというものです。

つまり、認識や思考はその人が母語とする言葉によって形成されるということになります。これは非常に面白い哲学的仮説で、要は国民性という言葉があるように、その人自身ではなくその外的要因がその人を形成するという考え方になります。

実は、皆さんも、この日本という国で日本語を使って生きているからこそ今のご自身があるのかもしれません。そういう可能性を考えると面白いと思います。

 

哲学の面白い思考実験10選!

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前項では哲学の面白い仮説についてご紹介しました。

ここからは哲学の面白い思考実験についてご紹介していこうと思います。ちなみに思考実験とは、頭の中で想像するだけの実験のことを指し、主に、哲学などの論証に使うために実施する実験のことです。

それではご覧ください。

 

哲学の面白い思考実験①:【プラトン】洞窟の比喩

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最初にご紹介する哲学の面白い思考実験はプラトンによる、洞窟の比喩という思考実験になります。その思考実験の概要はこうです。

生まれてこの方、洞窟に鎖でつながれている人がいて、その人が認知しているのは、背後にある炎が作り出す影、洞窟内にこだまする音のみです。また他にも鎖でつながれている人がいることは見てわかる状況だとします。

その中でこの人はある時自由になり、洞窟からの脱出に成功します。そして外の世界に出ます。そこで太陽を見、水面に映った自分の姿を見ることで今まで自分が見ていたのは影であることを知ることになります。

それを他の洞窟に鎖でつながれている人に教えますが、「何を言っているんだ」と鼻で笑われてしまい、頭がおかしいと思われる面白い話です。

プラトンがこの思考実験で示したかった哲学とは、今見ている現実は、さらに高度な現実の影にしか過ぎないということであると言われています。

 

哲学の面白い思考実験②:【フランク・ジャクソン】メアリーの部屋

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次にご紹介する哲学の面白い思考実験として、フランク・ジャクソンによるメアリーの部屋というものがあります。

メアリーは生まれてからずっと、白黒の部屋で育ちます。そして、白黒の本やテレビで、森羅万象を学び、また、人間がどういった時に「赤」を感じ「青」を感じるかまでその全てにおいて熟知しています。

そんなメアリーがある日、外界の「色のある世界」へと解き放たれた時、彼女にとって何か学ぶことは存在するのかという思考実験です。

フランク・ジャクソンはこの論文を通して伝えたかった哲学とは、簡単に言うと、知識とは何かということです。要は、こんな単純な思考実験においてさえ、自分が知っているものとは何かということを説明するのは非常に難しいということです。普段そんな観点で考えないので非常に面白いです。

 

哲学の面白い思考実験③:【ルートヴィヒ・リヒゲンシュタイン】カブトムシの箱

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哲学の面白い実験にはこんなものもあります。ルートヴィヒ・リヒゲンシュタインによるカブトムシの箱という思考実験です。

各人が、「カブトムシ」と呼ばれるものが入っている箱を持っていて、その中身は自身にのみ見ることができるとします。この場合、各人「カブトムシ」を認識するのは自分の箱に入っているものに対してのみです。

この状況をよく考えてみてください。もしかすると、各人箱の中身は違うかもしれません。カナブンが入っていたり、ネコかもしれません。ボールの可能性もあります。はたまた、何も入っていない可能性すら存在するのです。

しかし、各人は皆が皆、自分の箱の中身のカナブンやボールを「カブトムシ」であると認識しているのです。面白いと言わざるを得ません。

現実世界の私たちはカブトムシはほぼ同じものを想像できると思いますが、この思考実験では、各人それぞれの「カブトムシ」が存在しているところが面白いと思います。

この思考実験から、ルートヴィヒ・リヒゲンシュタインが伝えたい哲学的内容としては、真の意味で、他人の痛みや、精神を理解するのは非常に難しいということであると思います。

 

哲学の面白い思考実験④:【デレク・パーフィット】パーフィットの分離脳

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続いてご紹介したい哲学の面白い思考実験は、デレク・パーフィットによる分離脳の思考実験となります。科学が非常に発達し、完全な能移植とクローンの作成ができるようになった世界において、あなたの脳を半分ずつ移植したクローンを2体制作します。

この2体はその両方が、あなたの記憶をもっています。この時、この2体は両方ともあなたと言えるでしょうか。はたまた、脳は半分ずつになってしまったので、あなたは消えてしまったと言えるのでしょうか。という面白い思考実験となります。

ここで、デレク・パーフィットが問いたかった哲学とは、自分という存在は果たして何者なのかということだと言われています。

 

哲学の面白い思考実験⑤:【ジェレミー・ベンサム】功利の怪物

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次に功利の怪物という哲学における面白い思考実験をご紹介します。

そもそも功利主義とは何か。功利主義とは最大多数における最大幸福のことを指します。イギリスの哲学者ジェレミー・ベンサムによって提唱されました。

(ジェレミー・ベンサムはあくまで功利主義を考えた人で、功利の怪物を考えた人は別にいます。)そこで、その功利主義に対し、こんな面白い思考実験がなされました。

同じ経験において、他の人の1000倍の幸福を感じることが可能な、「功利の怪物」が存在したとするならば、他の全ての人を犠牲にしてでも、その功利の怪物に対しリソースを全投入するべきである。という思考実験です。

要は、この状態において、功利主義の最大幸福は満たせていますが、最大多数の部分は無視されてしまいます。つまり、この思考実験を通じて、伝えたかった哲学的内容というのは功利主義へ異議を唱えることでした。

 

哲学の面白い思考実験⑥:【ジョン・サール】中国語の部屋

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こちらでご紹介する哲学の面白い思考実験は、ジョン・サールによる中国語の部屋という思考実験になります。概要はこうです。

中国語の全く分からないある人が部屋に閉じ込められており、その部屋には、中国語の本と、母国語の指示書が置いてあります。

そして、その部屋へ中国語で書かれた1枚の紙が差し入れられました。ある人は、中国語の本、母国語の指示書を使用し、そのままその紙に書き込んで、部屋の外へと出しました。

外で、それを受け取った人はまるでこのある人が中国語を完全に理解しているような印象を受けることになるであろうというものです。面白い話だと思います。

この思考実験で、伝えたかった哲学的内容は、知とは何か?です。要するに、面白いのはこの思考実験というのはコンピューターへの皮肉ともいうべき内容で、一連の思考実験はコンピューターの動作そのものである言えます。

つまり、この思考実験はコンピューターのような機械的動作を知と呼ぶことはできるのか。という問いかけになっているということです。

 

哲学の面白い思考実験⑦:【ジュディス・ジャービス・トムソン】バイオリニストの部屋

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続いての面白い哲学的思考実験として、ジュディス・ジャービス・トムソンが考えたバイオリニストの部屋というものです。

ある朝、あなたが目覚めると、そこは病院で、意識不明のバイオリニストとチューブでつながれている状態でした。医師によると、このバイオリニストを生かすためにはあなたの血液が必要で、意識回復まで9カ月を要するというのです。チューブを引き抜けばバイオリニストは当然即死です。

そこで、こういった面白い問いが生まれます。このチューブを引き抜いたあなたは殺人犯になってしまうのかどうかという問いです。

皆さんはどう思いますか。確かに、チューブを引き抜いたのが自分で、それが原因で相手が亡くなれば殺人であるような気もします。しかし、自身の同意なく、チューブでつながれている場合においてもそれは果たして殺人になってしまうのでしょうか。

この面白い思考実験で伝えたい哲学的内容というのが功利主義に異議を唱えるというものになります。前述の、功利の怪物とはまた違った視点で功利主義を批判しています。

 

哲学の面白い思考実験⑧:【ジャン・ビュリダン】ビュリダンのロバ

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次にご紹介したい面白い哲学的思考実験として、ビュリダンのロバというものがあります。こちらは、空腹状態のロバが、ある分岐にぶつかります。そしてその分岐の先には、それぞれ全く同じ距離、全く同じ量の干し草があるのです。

この条件の下では面白いことに、このロバは立ち止ったまま餓死してしまうという結果になってしまうであろうという思考実験です。

ここで、伝えたい哲学的内容は、選択という行為の重さだと思います。また、ロバが餓死するという結果から恐らくロバは「左でもない。右でもない」と悩んだと推測できるので、理性や理論よりも、自由意志の方が選択においては重要であるということでもあると思います。

 

哲学の面白い思考実験⑨:【ロバート・ノージック】快楽機械

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さらに、こんな面白い哲学的思考実験もあります。それは快楽機械と呼ばれる実験です。概要はこうです。

残り人生の全ての快楽を体験できるマシーンがあります。ある人がそれを体験しましたが、確かに素晴らしいものでした。そしてマシーンはある人に更なる提案をします。「数回分の人生の快楽をあなたに与えることも可能ですが、試しますか」と。それに対して、ある人がこの更なる提案を断る理由はあるだろうか。というものです。

ロバートが、「もしこの提案を断る合理的な理由があるならば、快楽にのみ倫理的価値を定める快楽主義的な功利主義は間違いになる」と主張していることから、こちらも哲学的に伝えたいことは、功利主義へ異議を唱えることであると考えられます。

 

哲学の面白い思考実験⑩:【ピーター・シンガー】あなたが救える命

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最後に紹介する面白い哲学的思考実験として、ピーター・シンガーが提唱した、あなたが救える命というものがあります。

道を歩いていると、子供が溺れていました。すぐ泳いでいけばその子供を助けることは可能です。しかし、この子供を助けることにより、買ったばかりの高級な靴が台無しになってしまいます。

そういった状況下で「あなたはこの子供を助けますか?」という面白い問いかけをピーターは行いました。

ピーター自身はこの問いにYesと答え、更なる質問をします。「では、近くにいる子供と地球の裏側にいる子供に命の違いはあるか?」というものです。ここで、ピーターはNoと答えています。皆さんもほぼほぼ同じ意見なのではないでしょうか。

要は哲学的に何が言いたかったのかと言うと人の命の価値に差異はないので、その生命に危機が迫る場合助ける義務があるということだと思います。

また、この実験で面白いのは実験内で出てきた高級な靴は「寄付」のメタファーになっているということです。

 

哲学の面白いパラドックス10選!

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皆さん、哲学における面白い思考実験は楽しんでいただけたでしょうか。

では、次は、哲学における面白いパラドックスをご紹介いたします。パラドックスとは矛盾のことです。哲学における面白い矛盾とはどういうものなのでしょうか。では、本編をご覧ください。

 

哲学の面白いパラドックス①:【ルネ・バルジャベル】親殺しのパラドックス

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最初にご紹介する哲学の面白いパラドックスとして親殺しのパラドックスというのがあります。こちらはSF作家のルネ・バルジャベルがその著書で最初に紹介したものとなります。

タイムマシンが存在する世界で、あなたがタイムスリップ後に祖母に出会う前の祖父を殺害するとどうなるか?というものです。この事象には以下の面白いパラドックスが発生します。

殺害に成功した時点で両親ののどちらかが生まれてこなくなり、あなたは消滅します。しかし、あなたが消滅してしまうということは、祖父は殺害されなくなります。ですが、そうなるとあなたは生まれてくることになり矛盾、すなわちパラドックスが生じることになります。

「卵が先か鶏が先か」みたいで面白いと思います。

 

哲学の面白いパラドックス②:【ルイス・キャロル】ワニのパラドックス

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次にご紹介する哲学の面白いパラドックスは、ワニのパラドックスと呼ばれるものです。こちらは有名な「不思議の国のアリス」の著者である、ルイスキャロルによって創作されました。

ナイル川で人食いワニが子供をさらっていこうとするのを母親が引き留めます。そこでワニは「今から、自分が何をしているかを当てられたら子供を返そう」と提案します。

面白いのは、もしここで母親が「子供を食べようとしている」と答えた場合です。

もしも、この回答が正解ならば、子供を返さなければいけません。しかし、正解なので子供を食べることになります。

また、不正解であっても、子供を食べていいことにはなるが、母親の回答が正解となり、子供を返さなければならなくなります。

このようにどちらの場合でも矛盾が生じてしまい、結果パラドックスが生まれてしまうことになります。この回答をした場合全てにおいてパラドックスが生じてしまう点が非常に面白いと思います。

 

哲学の面白いパラドックス③:【エピメニデス】エピメニデスのパラドックス

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3つ目にご紹介したい哲学の面白いパラドックスとしてエピメニデスのパラドックスというものがあります。

昔、エピメニデスという預言者がいました。そして彼はこう言いました。「クレタ人は皆嘘つきで、たちの悪い獣で、怠け者の大喰らいである」

ちなみにエピメニデス自身もクレタ人でした。この時このエピメニデスが行った発言は、真か、偽かというものです。

真ととらえた場合クレタ人は皆嘘つきであるということになりますが、エピメニデス自身もクレタ人なので、この発言自体が嘘ということになります。

また、偽ととらえた場合、クレタ人は皆嘘つきではないことになります。しかし、同時にエピメニデス自身もクレタ人なので、この発言自体が本当ということになります。

ここにパラドックスが発生しているのです。一つの発言に対し、真か偽かどちらで捉えた場合でも条件によってはパラドックスが生じる点がこのパラドックスの面白いところと言えるでしょう。

 

哲学の面白いパラドックス④:【ミレトス】砂山のパラドックス

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4つ目にご紹介したい哲学の面白いパラドックスとして、砂山のパラドックスというものがあります。

1億粒の砂粒からなる砂山から一粒ずつ砂粒を取り除いていくと最終的にどうなるかという問いがあったとします。この問題を考える際に、2つの前提を考えます。

一つは、砂山は膨大な砂粒から形成されているというもので、もう一つは砂山から一粒を取り除いてもそれは砂山のままであるというものです。

この時、面白いパラドックスが発生しています。一つ目の砂山は膨大な砂粒から形成されているという前提が真ならば、一粒しかないものは砂山ではないからです。しかし、二つ目の砂山から一粒を取り除いてもそれは砂山のままであるという前提においては真となります。

二つの定義が相反しあって矛盾を生み出しているところが、このパラドックスの非常に面白いところではないでしょうか。

 

哲学の面白いパラドックス⑤:【ゼノン】永遠に手に入らないソーダ

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次にご紹介したい哲学の面白いパラドックスとして、哲学者ゼノンが創作した永遠に手に入らないソーダというものがあります。

ソーダを買いに出かける際、家から店まで中間地点を設けるとします。そして、さらにその中間地点から店までにもう一つ中間地点(3/4)を設ける、そしてさらにその中間地点から…という感じでどんどん中間地点を設定していくと最後の中間地点はいったいどこなのかという面白い矛盾が発生してしまいます。

このパラドックスは今までのものとまた違った面白さがあります。ただソーダを買いに行くだけでこんなことを考えるなんて、哲学者の発想は非常に面白いです。

 

哲学の面白いパラドックス⑥:【マリリン・ボス・サバント】100万円をゲットするには

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6つ目にご紹介する哲学の面白いパラドックスとして、100万円をゲットするにはという話があります。これはモンティホール問題と呼ばれている面白い問題であることでも有名です。

3つのドア(それぞれA、B、Cと仮定)が用意され、2つのドアの向こうにはヤギ(外れ)があり、残る1つのドアの向こうには100万円(当たり)があるとします。

ドアを開けられるのは1度だけだが、回答者がドアAを選択したとき、サービスとしてドアBがオープンされ、Bは“外れ”だったことが判明。この時、“回答者はAのドアを選択したままにすべきか、それともCに変えるべきか

という問いに対して、マリリン・ボス・サバントは「ドアを変更する」という回答をしました。そしてその理由を「ドアを変更すれば景品を当てる確率が2倍になるからである」としました。

このことにより、マリリンには1万通もの苦情の手紙が寄せられたと言います。非常に面白い結果だと思います。

これの一体何が、パラドックスかというと、サービスで開けられたドアの結果によって1/3もしくは2/3と確率が一定ではないという点からパラドックスの一種として捉えられているようです。

この問題の回答には様々な議論があります。皆さんもぜひモンティホール問題に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

哲学の面白いパラドックス⑦:【ゼノン】アキレスと亀のパラドックス

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7つ目にご紹介する哲学の面白いパラドックスはアキレスと亀のパラドックスというものになります。

この話は、アキレスとリクガメが競走することから始まるのですが、競走が始まる前、アキレスは、平等性を期すため、500メートル先からリクガメをスタートさせます。

やがてアキレスはその500メートルに追いつくのですが、亀はまだ50メートルしか進んでいません。つまり亀はトータルで550メートル進んだことになります。

この過程で行くと、アキレスは50メートル進むとトータルで550メートル、この間に亀は5メートル進みトータルで555メートル進むことになります。

そしてその距離は縮まっては行くものの、面白いことにアキレスは永遠に亀に追いつけないことになります。

このパラドックスが面白いのは、俊足で知れているアキレスがこの仮定の下では亀に永遠に追いつけなくなってしまうという点です。これは非常に非現実的な結果ではないでしょうか。

つまり、哲学的メッセージとしては、非現実なことも、仮定や条件によっては非常に現実的に見えてしまうということを言いたかったのではないでしょうか。

 

哲学の面白いパラドックス⑧:【不明】男女のパラドックス

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次にご紹介したい哲学の面白いパラドックスとして男女のパラドックスというものがあります。

ある家族がいて2人の子供がいます。片方は男の子です。このうちもう片方が女の子である確率はいくらでしょうという問題があります。

普通に考えると50%だと思いますが、次のパターンを考えてください。

2人の子供のパターンは

(男・男)

(男・女)

(女・男)

(女・女)

の4パターンがあります。このうち片方が男の子、片方が女の子になるので(女・女)のパターンは消え1/3になってしまいます。つまり、33.3%になってしまうというパラドックスが生じるのです。

50%だと思っていたものがなぜか33.3%になってしまうという点がこのパラドックスの非常に面白いところではないでしょうか。

 

哲学の面白いパラドックス⑨:【不明】ポテトのパラドックス

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9つ目にご紹介する哲学の面白いパラドックスとして挙げられるのがポテトのパラドックスというものです。

ある農夫がポテトを100キロ収穫しました。ポテトは99%水分で構成されていることが分かっています。そこで農夫は天日干しにより水分を98%に調整することにしました。

この時理論上ポテトは50キロになっているはずです。なぜなら、トータル100キロのうち99%が水なので水分が99キロ、ポテトは1キロだからです。

もっと簡単に解説すると、天日干しをするということは当初1:99で分かれていたポテトが2:98で「個体:水」として分かれなければならないことになります。

しかしながら、ポテトの個体部分が蒸発することはなく、1キロを維持するので、同比率で考えると1:49となり、水分が49キロ、個体分1キロの合計50キロとなるというパラドックスが起こるというものです。面白い結果だと言えます。

現実問題、1%の水が蒸発しただけで50キロになるわけはないのでそこがこのパラドックスの面白い部分だと思います。

 

哲学の面白いパラドックス⑩:【カール・ヘンペル】ヘンペルのカラスのパラドックス

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最後に哲学の面白いパラドックスとしてヘンペルのカラスのパラドックスを挙げたいと思います。

カール・ヘンペルが提唱したこのパラドックスは1つの文章から始まります。「全てのカラスは黒い」というものです。このパラドックスに対し、対偶法を用いた時「全ての黒くないものはカラスではない」ということになります。

この「全ての黒くないものはカラスではない」という考え方からカラスというものを定義するとき、森羅万象片っ端から、調べてようやくカラスが黒いと分かるわけです。しかし、当たり前ながら、カラスを数羽見れば「カラスが黒い」ということは証明できるというパラドックスが発生するのです。

実際に「カラスが黒い」ということを調べるために対偶法を用いて森羅万象片っ端から、調べる人はいません。しかしこの、不可解さ、面白さが、このパラドックスを哲学的に興味深いものへと昇華させていると思います。

 

哲学をもっと学ぼう!

皆さんいかがだったでしょうか。

今回は哲学というテーマに絞って、その仮説や思考実験、パラドックスなどに触れていただくことで、哲学は堅苦しいものではなく、面白いものなんだというのをご理解いただけたらと思い記事を仕上げていきました。

哲学の面白さというのは、やはり、その自由度にあると思います。対象は何でもいいし、それに対する答えも三者三様に存在する。これに尽きると思います。

哲学ってすごいと思いませんか?だって宇宙とか、人間とはとかそんな大規模なことを、数式などを使うことなく考えていけるのです。これも面白い部分かと思います。自分自身の範疇をはるかに凌駕することを考えれるのは本当にすごいことだと思います。

今回の記事を読んでいただけて、哲学って面白いな。哲学についてもっと学びたいなと思った人がいれば、書籍はもちろん、ネット上に大量の哲学に関する資料がありますので手に取ってみてはいかがでしょうか。

哲学に少しでも興味を抱いていただければ幸いです。ここまで読んでいただいた皆さんはもう立派な哲学者だと思います。

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