引用: Pixabay
昔とある男女数人がドライブの帰りに森に迷い込みました。
時間は夜中を回っており右も左も分からずにいると急に目の前に古びた大きな鳥居が目の前に現れました。入り口の手前には看板が立っており「ここから先へ立ち入る者 命の保証はない」とだけ書かれていました。
運転していた男性は「ここは杉沢村かも知れない」そう呟き後部座席の友達に懐中電灯を取るように指示をして、車から降りようとしました。
助士席の女性は気味が悪くなり必死に止めましたが周りもその気になっており、次々と車から降りてしまいます。
急に現れた鳥居の根元には髑髏の形をした石があり一層不気味さを掻き立てます。鳥居をくぐってしばらく歩いていると古い廃墟にぶつかりました。中を覗いてみると壁一面が血しぶきのようなもので染まっており真っ赤だったのです。
男女一行はようやく自体の異常さを認識し、車に戻ろうとしました。廃墟から引き返そうとしましたが気づくとさっきまでいなかった人影が自分たちの周りを取り囲んでいたのです。
走って逃げようとしますが仲間が次々から次へと凶器を持った村人に襲われその度に何処かへ連れていかれます。命からがら車に辿りついたのは女性1人だけでした。
急いで山を降りると起こったことを町の人に話し、その後女性も行方不明になってしまい現在の所在が分かっていません。
上記の話しが杉沢村に行ったとされるエピソードのひとつです。『杉沢村』とは行ったら戻ってこれない、入ったら最後出ることはできないと言われている村の名前です。
場所は青森県に存在するとされており、この噂はインターネット黎明期の2000年代にネット掲示板を中心に爆発的に広まりました。
書き込みでの渋沢村は「大きな鳥居」「髑髏のような石」「廃墟の中に血痕」など複数のキーワードが共通しておりそれが一層信憑性をもたせました。
杉沢村は昔、1人の男が村人全員を惨殺しその後男自身も自殺を図り村ごとなくなり、行政の手によって廃村扱いにされ事件は隠されてしまい、現在でも夜な夜な当時の村人が化けて出るとされています。
バラエティ番組の「アンビリバボー」でも特集が組まれるなどして知名度は一気に上がりました。
杉沢村は複数の事件をモチーフにしているとも言われ、またホラーゲームやアニメの元ネタにもなっているとも言われています。
今回はそんな謎の渋沢村の真相、村人が惨殺された村は存在しているのか調査します。
杉沢村伝説の概要まとめ!
【1】村の1人の男が発狂
引用: Pixabay
青森県の山間に位置する村で事件は起こりました。
村へ行くには山道の一本道しかなくそのため村は外からはほぼ遮断されており、人の交流も滅多にないほど静かな場所でした。
のどかな村でしたがある日1人の男が発狂し村の人々を襲い農具などで1人残らず殺してしまいました。
村人を殺した後に男も自らの命を絶ち、男が発狂した理由・村人を殺害した動機は分からずじまいになってしまいました。
【2】村は廃村に事件は隠蔽された
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その数日後に事件は発見されましたが、あまりにも酷かった点、周りへの風評被害を考え行政は事件を隠蔽することに決めました。
村は廃村になり周りの市町村に吸収合併された扱いになりました。
村に入ると今でも村人の霊が漂っており訪れたものをあの世へ連れて行こうとすると恐れられています。
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このような話しが広まったのは2000年代のインターネットです。
誰から始まったのかは分かりませんが『杉沢村』という村の伝説が青森県にあるらしいという事で次々と関連の話しが投稿されました。
中には訪れた体験談を書き込むものもおり、「一度は行ったら出られない」「入り口に禁止の看板が立っている」「村は異世界に繋がっている」等の書き込みがされました。
【4】妙なディテールをもっている
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この話しの面白いところはそれぞれが共通のキーワードを持っているところです。
杉沢村の伝説が語られる時には必ず「入り口に朽ちた鳥居」「鳥居の根元には髑髏のような石(もしくは岩)」「奥に廃墟があり中には血のような血痕」など妙なディテールを持って語られます。
その反面、村がいつの時代に存在したのか?誰も実際に杉沢村に行った者がいないなど怪しい点も挙げる事が出来ます。
【5】テレビの反響
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引用: Pixabay
杉沢村が世間にも一般的に認知されるきっかけになったのは現在でも放送されている『奇跡体験!アンビリバボー』で取り上げられたからです。
番組では実際に青森県に行き町でのインタビューや役場での取材を行いました。
結果的に青森県には3つ杉沢という地名が存在しましたが、杉沢村が存在した証拠やある村で大量殺人が起こった事実は確かめられませんでした。
番組では最終的に『杉沢村は異次元の村であり消えたり現れたりする異世界』という結論で締められました。
杉沢村人惨殺事件はあった?
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この2つの事件は実際に存在した出来事です。
どちらも殺人事件であり杉沢村伝説はこれらの事件が元になり作られたのでは?と言われています。
【1】津山事件
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1938年5月21日未明に現在の岡山県津山市加茂町行重の貝尾・坂元両集落で発生した大量殺人事件です。
事件は未明に発生しました。当時集落の若者であった都井 睦雄(とい むつお 21歳)がわずか2時間のうちに30名を殺害、3名が重軽傷を負い11宅の家が被害にあい殺害されました。
犯人の都井 睦雄は犯行後遺書をしたため集落から離れた山の山頂で自殺をしており事件は容疑者死亡により不起訴になっています。
動機は都井の集落に対する鬱憤からくる犯行だったとされており、病気がちで引きこもっていたことから集落に対する憎悪や女性から見放された事が引き金で事件が起こされたとされています。
村人が殺された点が共通している
津山事件は有名ですが、この集落の村人が30名という大量に殺されている点が杉沢村伝説と共通している点といえます。
津山事件では集落を皆殺しとは言えませんが1人の男が壊滅的な被害にあわせており、杉沢村伝説と似たものを感じさせます。
【2】リンゴ農家一家8人殺人事件
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1953年12月12日青森県新和(にいな)村(現弘前市)小友宇田野地区で起こった事件です。
リンゴ農家の三男で桶職人を営んでいたTは大量に飲酒して酩酊状態となり、味噌を盗もうとして実家の物置小屋に忍び込みました。
そこで猟銃を見つけたTは銃を手にすると裏口から実家に忍び込み、寝ていた父親(57)他、祖母(80)・長男(35)とその妻(33)、長男夫婦の子で長男(7)・長女(5)と叔母(61)を射殺し、さらに家へ放火して長男夫婦の二女(3)を焼き殺し計8人を殺害しました。
犯行後親戚に付き添われTは自主し逮捕されました。
裁判ではTの心神喪失などが焦点になり、事件前には家からTは追い出されるなどの扱いを受けておりそれらを考慮して執行猶予付きの有罪判決のみにとどまりました。
その後Tは村に戻りリンゴ園を経営し成功を収めたとされています。
青森県で起こった事が共通している
この事件は青森県で起きた複数殺人という点で杉沢村伝説と共通しています。
残念ながら被告Tの本名などは調べても出てこなかったのですがどうやら青森県で起こされた事件なのは確かなようです。
1人で複数の殺人を犯しておりかつ青森県というのは杉沢村が存在しているといわれる地域です。杉沢村伝説はこの事件が元になっているのかも知れません。
杉沢村は実際どこにあるの?
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数々の噂が流れていますが、では実際に杉沢村はどこに存在するのでしょうか?
新潟県南蒲原郡にあった村
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新潟県南蒲原郡現在の見附市杉澤町にあたる地域には実際に杉沢村という村が存在したそうです。
総人口は850人ほどで歴史上大量殺人が起こったという事実はなく、また村がなくなったのも市町村合併に伴うものだったそうです。
青森県青森市小畑沢小杉
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現時点では青森県青森市小畑沢小杉という地域がかつて杉沢村が存在したのではと言われる最有力地域になります。
青森市の郊外に位置し車で途中まで向かうことができます。
道路脇に杉沢村伝説で伝えられている古ぼけた鳥居が姿を表します。周りはボロボロの家が10m位おきに5~6軒と並んでいるようなところで、鳥居は朱に塗られてはおらず木目のままです。
鳥居の根元には大きな石が無造作に置かれており歪な形をしています。髑髏に似ているといわれるとそう見えてもきます。
中に進むと神社は見当たらず代わりに石碑が置かれています。昔の信仰の名残といわれています。
奥に血だらけの廃墟などは存在しませんが、「青森県」「鳥居」「髑髏のような石」などは一致しています。
杉沢村伝説の関連コンテンツが話題
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杉沢村はその噂が高じて多くの関連コンテンツが世の中に出回りました。
名前をそのままつけたゲームアプリなどもあり紹介します。
【1】杉沢村都市伝説 劇場版
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2014年に公開された、劇場公開ホラー映画です。
タイトルの通り杉沢村伝説を元にストーリーが作られており、主演に元乃木坂46の伊藤寧々が務めたことでも話題になりました。
青森県の山中にあったと噂される謎の村「杉沢村」に足を踏みいれた女性たちが体験する恐怖を描きました。
裕子の兄・義男は、友人の孝介や友久らとともに「杉沢村伝説」の真相を追う旅を撮影してネット公開しており。
ある日、兄が旅から帰ってくると知った裕子は、兄の恋人・亜紀と一緒に自宅で待っていたが、帰ってきたのは負傷した孝介だけだった。
しかも孝介はネット上にアップされた新しい動画を見た途端に豹変し、姿を消してしまう。裕子と亜紀は真相を突きとめるべく杉沢村へと向かうが……。
【2】都市伝説 〜杉沢村からの脱出〜
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杉沢村が脱出ゲームとして2015年に配信されました。ストーリーは7章にも渡るものになっており濃厚なホラーが味わえます。
女子校生3人組が青森県の杉沢村に迷い込むという設定になっておりSNSなどを通してストーリーは進行していきます。
プレーヤーはSNSのやり取りなどを駆使しながら殺人鬼から無事に逃げて村を脱出することを目指します。
【3】SIREN (ゲームソフト)
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ゲーム機プレイステーション2を代表する日本のホラーゲームです。
昭和51年8月3日深夜0時、××県三隅郡に位置する羽生蛇村が大規模な土砂災害により壊滅しました、その27年後に羽生蛇村でかつて大量虐殺が起きたという都市伝説に興味を持った高校生・須田恭也が単身で村を訪れるが、深夜の森で村人たちが怪しげな儀式を行っているのを目撃する。
その姿を村人に見られ逃げ出す最中に盲目の少女・神代美耶子と出会い一緒に行動を開始するというストーリーです。
ゲームのシナリオが高い評価を受けており現在でも色あせないホラーゲームの名作です。
舞台となる羽生蛇村が大規模な土砂災害により壊滅した、つまり村人が全員亡くなっているという点が杉沢村伝説の村人全員が殺されているという点とリンクするものがあり、少なからず影響を受けているんではないでしょうか。
【4】ひぐらしのなく頃に
Yotoさん(@aloha.yoto)がシェアした投稿 – 2019年 7月月27日午前7時26分PDT
同人サークルによるコンピューターゲームから始まり人気の高さから数々のメディアミックスがされ映画にもなった一連の作品群です。
本作品は人口2000人に満たない寂れた架空の村落、雛見沢村を舞台にした村にまつわる古い因習「綿流し」を軸にして起こる連続怪死・失踪事件を扱った連作式のミステリー作品です。
作中には雛見沢村の人々だけが罹る雛見沢症候群が登場し、これに罹ると極度の疑心暗鬼や人間不信および妄想・異常行動が発生し時には殺人も起こします。
この雛見沢症候群が杉沢村伝説の村の男が発狂したという点と似ていませんか?
杉沢村伝説では発狂に至った理由などは明記されていませんがひぐらしのなく頃にでは作中で雛見沢症候群という病名で発狂・異常行動を起こす理由が明かされています。
杉沢村伝説まとめ【都市伝説】
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いかがでしたでしょうか?以上が杉沢村伝説にまつわる噂と真相です。
杉沢村伝説には軍事施設がありそれを隠すための都市伝説というものやカルト教団の集会場と結びついている、地下には秘密の地下都市が存在していて政府が隠しているといった陰謀論めいた見解も存在します。
青森県に存在する小畑沢という地域には鳥居や石は存在しましたが、残念ながら廃墟と血痕などは発見されていません。
インタネット初期に広まった噂・都市伝説とされていますが、多くの人の書き込みには共通点があってとても即席で考えられた話しとは考えにくいですよね。
実際に体験したなどの話しもありますが彼らは何処へいってきたのでしょうか。何のために杉沢村伝説を作ったのでしょうか。疑問は尽きません。
テレビで取り上げられ徹底取材が行われましたが結果は杉沢村は異次元の村であり消えたり現れたりする異世界という結論でした。
こんなにも多くの人が見聞きしているのであれば杉沢村は本当に異次元に存在する異界の地なのかもしれません。
今後杉沢村が発見されることに期待したいと思います。