引用: Pixabay
事件名自体がかなり謎でセンセーショナルなため、この事件について知らない人は、一体どういう事なんだろう?真相は?と思う方も多いかと思います。
実はもう既に10年以上以前の事件になりますが、まさにインターネットとSNS時代の恐ろしい「闇の部分」を覗くような事件だったようです。そして、この事件以降の情報流出事件が起こるたびにこの「ケツ毛バーガー事件」が先例として顧みられている状態のようです。
今もなお、インターネットによる情報流出やプライバシー侵害のあいまいさは問題になっていますが、ある意味この事件のインパクトが大きすぎたためこの事件以降、業界では急速にプライバシー保護やその周辺環境の法整備と罰則規定まで、早急な対応が叫ばれた事態になりました。
そんな大事件を経験してもまだ少しずつしか進んでいないグレーゾーンに対して、個人としてSNSとの付き合い方や自衛策を個人として真剣に考えて行く必要がありそうです。
ケツ毛バーガー事件の概要
引用: Pixabay
実はこの事件は、今から10年以上も以前の2006年10月頃に起こっています。
ここからは事件の概要についてを紹介していきますので、さっそく見ていきましょう。
事件の発端
引用: Pixabay
ネット上で流行していたファイル共有ソフトの一つである「Share」によって、当時そのユーザーの一人であった白鯛素久さんのパソコンがAntinny(俗称キンタマウイルス)というウイルスに感染してしまいました。
このAntinnyというウイルスは暴露ウイルスと呼ばれ、感染すると勝手にパソコン内のデータを圧縮して外部に送信したりネット上に勝手に公開してしまうという事が起こります。
そのため、白鯛素久さんのパソコンでもこのウイルス感染によって同じことが起こり、白鯛素久さんが保存してあったデータを本人が知らないうちにネット上に流出させてしまうという事態が起こってしまいました。
実は、白鯛素久さんのパソコンには本来社外には持ち出し禁止であった会社の重要機密情報(会社の社内情報や社員名簿などもあった様子)の他に、当時お付き合いがあったと思われる村岡万由子さんの全裸を含む私的写真が多数存在していたために、それらも一緒にネット上に流出してしまいました。
更に当時白鯛素久さんと村岡万由子さんは二人ともmixiアカウントを持っており、流出した白鯛素久さんのデータ内に「mixi用」となっていたファイルの中から二人のアカウント、勤務先なども公に知られてしまうこととなってしまったのです。
事件の炎上
引用: Pixabay
そこまでに至る経緯としては、写真を含む流出情報を手にした悪意のある第三者である「亞門」と名乗る人物(本名、織茂由弦。ウィルス製造者ではない人物で、のちに2012年別件で逮捕。後述で詳細。)が、最初に村岡万由子さんの所属していたコミュニティにおいて、執拗なまでに繰り返し無修正の彼女の全裸写真を貼り付け、荒らし行為を行ったのが発端です。
このことをきっかけに炎上騒動が起こり、そこから「2ちゃんねる」にまで情報が流出し、一部の心無いネットユーザーによって白鯛素久さんと村岡万由子さんの個人情報の特定追跡が始まりました。
流出したmixi情報にあった白鯛素久さんのマイミクであった村岡万由子さんのmixiアカウントは、本名や生年月日と出身などの個人情報が既に記載されていたため、そこから情報の紐づけが行われ、それまでの経歴や現在の職業などもかなり細かく調べられて、ネット上で公表されてしまうこととなってしまいました。
流出した写真の内の、衝撃的な全裸写真の様子からお尻をハンバーガーに例えられたため「ケツ毛バーガー」という興味を惹く名前が付けられてしまったために、面白半分が更に話題を呼んで、ネット上で拡散され続けました。
前述のように、村岡万由子さんや白鯛素久さんへの個人特定や写真情報流出が進むのに利用されたのが、当時多くのクローズド(限られた関係)な利用者がいたmixiでした。炎上騒動を受けて、mixiの運営側によって亞門は強制退会処分となりました。
そのことに怒った亞門は「mixiを潰す」宣言をし、逮捕覚悟でmixi荒らしの賛同者を2ちゃんねるで募り、この亞門に扇動された不特定多数のネットユーザーによってコミュニティが立てられ、mixiは引き続き荒らされ続けました。
この惨状にこの時のmixi運営側は、再度登録されていた亞門本人のアカウントだけではなく亞門とつながっていた友人アカウント(マイミク)を無差別的に全員強制削除という決断を取りました。
この一連の流れを見ていたユーザーから、この「単純かつ杜撰な危機管理対応」に対するmixi運営側への不信感を逆に掻き立てることとなり、今度は別の流れからもmixi批判が加速する事態となりました。
Array
引用: Pixabay
当時mixiは、既存会員からの招待が無いと参加できないため本名登録が必須であり、更にメンバーの身内感が高く会員同士が安心して利用できたと同時に、「会員間の秘匿性」から援助交際やマルチ商法などの犯罪の温床化なども実は水面下で起こっていました。
こういった「秘匿性を利用した」流れを助長するユーザーと、正義感からそれに反発するユーザーにより、度々mixi上では「荒らし」が多かれ少なかれ起こっていたため、その都度mixi運営側による「無差別的なマイミク強制削除」が行われていた事実もあったようです。
それがこの「ケツ毛バーガー事件」によって大炎上したことにより、mixiに対する信頼性がさらに低下していきました。2006年の同年に上場していたmixi株は事件前に320万という高水準だった株価も、事件の表面化により連日急落を続け半値近くまで暴落、その後投機筋が幾度か買い戻しても、以前の数値に戻ることはしばらく無かったほどだったそうです。
このように、当時新進気鋭だった上場企業を一時的でも半値以下に暴落させたという予測の出来なかった事態によって、ネット社会の不安定さとリスクも明るみに出た形となりました。
一方、「mixiを大暴落させた事件」という形でネット以外でも注目が集まり、新聞や週刊誌にまで事件の概要が掲載されてしまいました。
当時は新聞紙上でも個人のプライバシーに関する認識もあいまいで企業としてのコンプライアンスなども整備されていなかったため、事件の詳細な概要と共に、被害者であるにもかかわらず村岡万由子さんの顔写真や、ひどいことに流出していた私的写真まで載せてしまった新聞や週刊誌もあったようです。
このため、ネット上だけではない世間一般の多くの人までも知る事件になってしまいました。
事件の二次拡散化
引用: Pixabay
実はこの事件は後年、「実話 ネット事件の真相『ケツ毛バーガー事件』の悲し過ぎる真実」といった漫画の題材にもされました。
悲しいことにかなり事実に基づいて主人公の女性が具体的に描かれていたり、実際の写真を使っていたり…というところが残念ながら少し被害者に対しての悪意を感じざるを得ない点かもしれません。
そして「危険なケータイ」というホラー小説も、この事件をモデルにして書かれているようです。
ネット上の流出写真に関しては、果てしない状況ではありますが個別に削除申請すれば消せる可能性はあります。しかし漫画や小説については既に別物となってしまうため、削除申請の対象にはなりません。
ただ、この「ケツ毛バーガー事件」では被害者の当時二人が何もできずに泣き寝入り状態だったため、実際の犯罪者はこの時点でも野放しになってしまい、実際の主犯格が別件で逮捕された後にやっとわかったこともありました。
こうして、十数年前の事件にもかかわらず繰り返し嫌でも思い出されてしまうのが、ネット事件の怖さということを思い知らされます。
被害者の村岡万由子さんとは?
村岡万由子さん pic.twitter.com/e03lUYAoLc
— ㅤうすしお (@nekama_sine) July 18, 2014
当時の様子は、若々しくて健康そうで笑顔の可愛い「ごく普通の」お嬢さんだったようです。
本人もこんな事件になってしまうとはまさか思ってもみなかったことでしょう。
この村岡万由子さんの可愛いらしい様子から、余計に第三者の興味を惹いてしまったことも、このような大きな話題となった事件に発展した要因と言えるかもしれません。
この事件では、彼女に落ち度はありません。唯一あるのならば、恋人とはいえ隠しておきたい部分を写真に撮らせてしまったことでしょう。ほんのちょっとの油断が、自分の始まったばかりのキャリアから人生までも変えてしまうことになるとは、若い彼女には想像もできなかったに違いありません。
被害者の村岡万由子さんの経歴は?
引用: Pixabay
村岡万由子さんの過去情報は既にかなり流出してしまっているので、残念ながら細かい経歴までわかってしまっている状態です。
大阪で1982年に生まれ、1994年に堺市登美丘南小学校、1997年に堺市登美丘中学校を卒業されて大阪府立三国丘高等学校に入学されました。2000年に同高校を卒業後、大阪府立大学の心理学部に入学されます。
大阪府立大学は現在でも全国大学偏差値ランキングで751学校中43位とかなり上位の難易度の高い大学です。更に村岡万由子さんは、大学卒業後には鳴門教育大学に大学院入学しており、大変優秀な女性だったのではないかと推測されます。
同大学院を2006年に卒業されて、その年の4月から徳島県警本部に就職されました。そこでは、少年課の補導員として、まさに社会人生活をスタートされたばかりでした。
被害者の村岡万由子さんと白鯛素久さんの関係は?
引用: Pixabay
当時、白鯛素久さんと村岡万由子さんは恋人同士だったようです。流出した写真の中には二人で仲良く並んだ普通の様子も多く、二人でデートをしているような雰囲気の写真なども多数あったようです。
白鯛素久さんは背が高く爽やかなルックスのようで、こんな事件さえ無ければ、周囲の祝福を受けるお似合いの二人だったかもしれません。
白鯛素久さんは当時、大手の三洋電機にお勤めでした。村岡万由子さんと違って、白鯛素久さん自身の経歴その他の詳細情報は現在あまりネット上には出回っていません。
白鯛素久さんがパソコンにファイル共有ソフトを入れていたことがきっかけで、このような事件になり、更には何も悪くないにもかかわらず知られたくないことまで他人の目にさらされてしまったことは、当の本人も予期できなかったことでしょう。
それにしても、白鯛素久さんは三洋電機という大手電気機器メーカーに勤めながら、こういった情報系の危険性や知識が中途半端だったのか?という疑問もあります。ただ、ファイル共有ソフトは当時まだ違法とされていない状態でした。
近年では、著作権や肖像権のあるものを勝手にアップロードをすることは違法となっており逮捕・処罰もされています。いくらウイルスのせいとはいえ、付き合っている女性の全裸写真を撮って保管していたり、仕事でも使っていたパソコンにファイル共有ソフトを入れていたり、と浅はかな行為で自分だけでなく若い女性の一生を台無しにしてしまったのですから、その責任は大変大きかったと言えます。
因みに白鯛素久さんもこの事件の発覚後、社内でもそれなりの処分を受けたようで、三洋電機を退職されているようです。その後の足取りは東京都内で働いている、などの情報はありますが確実なものではなく、現在まで不明になっています。
また、村岡万由子さんにプロポーズしたが断られた、などの憶測もネット上では流れていました。何より日本国内には約100名ほどしかいないと言われている珍しい苗字の「白鯛」を改名したのではないか、婿養子に入ったのではないか、海外に移住したのではないか、という説も囁かれているようです。
被害者の村岡万由子さんの流出画像はどうなった?
引用: Pixabay
残念なことに、現在も彼女の流出画像はネット上を漂っています。
そして何か世間で「情報流出」関連の事件が起こるたびに、この「ケツ毛バーガー事件」がネット史上最初の大きかった事件として毎回振り返られてしまいます。
このように一度流出してしまった写真や情報は、誰かが保管してしまっていると永遠にネット上に頻出され続けてしまいます。
被害者の村岡万由子さんの現在は?
引用: Pixabay
この事件後、早々に徳島県警本部の少年課補導員を退職されています。
特に罰則を受けたなどは無いようですが、希望に燃えて就いた仕事を早々に辞めなければいけなかった心境は察して余りあるでしょう。そのためか「もしかしたら自殺してしまったのではないか」という心無い噂もたったようです。
伝え聞くところによると、その後はスクールカウンセラーとして勤務していたという情報もありました。介護関連の仕事をしているといった噂や2018年に一度「現在の写真」として情報が流れましたがそれは全くの別人と見られています。
現在彼女は30代半ばとのことなので、できることならどこかで若かった時の辛い記憶を封印して、幸せになっていてほしいと願わずにはいられません。
ケツ毛バーガー事件の犯人は?
引用: Pixabay
この事件の一番の犯人は、前述でもお伝えしましたが、悪意を持っていたずらに画像を拡散し続けた「亞門」と呼ばれた織茂由弦(おりもゆずる)という人物です。
実はこの織茂由弦(逮捕当時35歳、横浜市都筑区北山田在住)は、2012年に別件の事件で「わいせつ電磁的記録媒体陳列容疑」でタイで身柄を拘束され、共犯の弟とされる小林和史(逮捕当時34歳、バイアグラなどを販売目的の医療品代行輸入業を営み、タイでの不法就労で逮捕)と共に、日本への強制送還される機内で、京都府警に逮捕されています。
この時の逮捕容疑は「2011年の10月に、Winny利用者のパソコンから流出したわいせつ動画をサイトに掲載して公開し、不特定多数の閲覧に供した事」となっています。
その犯罪の詳細は、横浜の事務所からタイに置いているパソコンを遠隔操作してWinnyなどを介して集めた動画や情報をアメリカのサーバーに蓄積してネットに公開していた、というかなり手の込んだ、違法性を十分認識したものでした。京都府警はタイ当局との初めての合同サイバー捜査を行い、国をまたいでこの逮捕劇を成功させたようです。
そしてその際の取り調べで、織茂由弦がこの「ケツ毛バーガー事件」の主犯格であったこともその供述から判明しました。
当時「亞門」という名でshareを介して入手した村岡万由子さんの写真を、悪意を持ってmixiコミュニティに貼り続け各所で拡散したこと、またその後もそれらの写真を営利目的でも利用していたという事が取り調べでも分かったそうです。
mixi強制削除前の「亞門」のマイミク登録者は、なんと当時900名を超えていたそうです。既にその時点で不当に手に入れた個人情報を金儲けのために利用していたかもしれない織茂弓弦の「当時の顧客」が実は含まれていたのでは、と言われています。
その顧客の存在がmixi内にあったため、織茂由弦の扇動によってmixi内での荒らしも活発化できたのでは、とも推測されているようです。
因みに逮捕された時点での調べでは、織茂由弦は全く違う業種とみられる会社(横浜市青葉区の「有限会社即日配送ドットコム 中古車事業部 プライベートカ―オフィス・サイバーラビット」とみられる)の社長を表向き務める傍ら、Winnyなどのファイル共有ソフトを経由して得た個人情報約350人分とわいせつ動画や画像3万点などを「弐萬ちゃんねる」という自主運営サイト上で公開して不特定多数に閲覧させていました。
また、そのページを見たお客にアダルトグッズ販売をする「東洋商事」(横浜市青葉区)という通信販売会社も社長として経営し、同社社員である横山卓思(逮捕当時33歳)と共に約7700万円の売り上げを上げてきたことが分かっています。
「ケツ毛バーガー事件」が当時で解決できなかったことで、何年間も同様の犯罪めいたことで収入を上げ、同様の被害者を更に増やしてしまったことはネット犯罪史上本当に残念な結果と言えるでしょう。また、「ケツ毛バーガー事件」当時に、織茂由弦の扇動に乗ってしまった人達は、今もまだ取り締まられることもなく野放しになってしまっている状態です。
このことは、既に日本の情報管理体制にも更なる不安を感じざるを得ない状況とも言えるのではないでしょうか。
ファイル共有ソフトが本当に悪いのか?
Array
引用: Pixabay
当初、このShereやWinnyといった「ファイル共有ソフト」も本来は単純に多くの人と情報を共有する目的として開発されたものも多いとも言われています。
ただ、こういったソフトの性格上「多くの人に繋がる」ことは多くの人に良くも悪くも影響を与えられるということ、更にはそこに悪意を持ってウィルスを拡散しようとした人がいたこと、そして流出した情報を悪意を持って利用する人がいた、ということがこの事件の真相の様に思われます。
確かに「匿名でファイルを共有できる」設定は、悪意を持った利用を選別できません。世間一般的には「ファイル共有ソフトは悪」といった直接イメージになりがちですが、本来の目的とは別に「悪意を持った人も簡単にアクセスできる状況を作った」という事が、この種の問題の真相ともいえるかもしれません。
例えばWinnyの開発者と言われている金子勇氏は、日本原子力研究所を博士研究員など優秀な経歴を経て、東京大学理工学部系研究科助手として勤務する傍ら、フリーソフトを独自で開発していたようです。そして、イノベーターとしてのその才能を発揮して、匿名により「Winny」を2ちゃんねる上でユーザーとの意見交換を行いながら開発しました。
2ちゃんねるでWinny(β版)を公開後、その利用者による「著作権侵害」が起こり相次ぐ逮捕者が出たため、ファイル共有ソフトとしてWinny自体の違法性を問われ、「著作権侵害幇助」にあたるとして開発者である金子勇氏も訴えられました。裁判では2012年まで争われ、最終的には金子勇氏は無罪を勝ち取っています。
が、裁判では「開発者の思想・発想的自由」と世間や商業上の公序良俗とどう折り合いをつけていくのか、といった面でも多くの議論はされても実際の対応や判断が不透明な状況で、今後も単純に疑問の残る点かもしれません。
金子勇氏は逮捕前までWinny開発に関わっていましたが( 金子氏によるものはWinny2.0 Beta7.1が最後)、裁判で無罪確定後はその開発に戻ることはありませんでした。残念ながら2013年に金子勇氏は42歳の若さで急性心筋梗塞で急死されたため、Winnyの開発は完全に終了しました。
実は現在もWinnyは利用されていますが、昨今の「サイト上視聴」傾向の時世に押され、年々ユーザー数は減少しているようです。
その他の情報流出事件
引用: Pixabay
この「ケツ毛バーガー事件」同様の情報流出事件はその後も頻繁に起こっています。
実はほぼ同時期頃(2005年?)にあった「イッチ―流出事件」では、大阪国税局職員がWinny利用によるウイルス感染で、個人のPCから複数女性とのわいせつ画像と自分と相手を特定可能な個人情報が流出し、同じく2チャンネルを介して拡散されてしまいました。
こちらは犯罪とも呼べる盗撮事例や既婚者との不適切な関係なども望まない形で公開された形となったため、実際に関係者の個人間での民事裁判までにも発展したらしい、という噂がでていました。
2007年には「チンコルド監督事件」と呼ばれた、やはり同様の情報流出事件がありました。
こちらは㈱東海理化社員による自身の個人的情報の他に、会社の業務情報、更には交際女性との私的画像と動画50本以上が流出し、この場合も関係者がmixiアカウントを保有していたため個人特定が2ちゃんねるや不特定多数のネットユーザーによって進み、「スネーク」と呼ばれるネットユーザーが実際に会社近所の社員寮周辺を徘徊するなどの事態が起こり、社会問題にも発展しかねない状況をよんだと言われています。
2013年には殺人事件となった「三笠ストーカー殺人事件」がありました。SNSで知り合った女子高生と社会人男性間(虚偽のプロフィールを使用)で交際していたのですが、別れ話がこじれた際に、交際中に女子高生自身が撮影して相手に送信していた性的な私的画像や動画を復習目的でネットに公開しました。
その後は女子高生が両親とともにストーカー相談を受けて、警察が動向をチェックいたにもかかわらず、男性は殺害目的で女子高生の自宅に潜み、帰宅と同時に彼女を襲い殺した、という事件となりました。この一人の女の子の殺人事件という大きな代償を払って、2014年「リベンジポルノ被害防止法」が成立しました。
2015年に大問題化したのは、「写真袋事件」です。携帯電話向け画像共有アプリ「写真袋」というアプリを介して、児童ポルノを保有したことでユーザーで複数の逮捕者が出ています。そして児童ポルノ拡散の温床となったのを知りながら見過ごしたとして、アプリ運用会社社長が逮捕されています。
現在このアプリはダウンロード不可となりました。更に運営会社社長の逮捕を受けて似たようなアプリも次々と使用不可となっているのが現状のようです。実際にアプリのデザインから、女の子が好きそうな仕掛けが随所に見られ、多くの若い女の子が利用していた様子ですが、そのうちの3割近くが児童ポルノだったそうです。
このケースでは、二つの原因が挙げられています。写真共有の際の「合言葉」が漏れたため私的な画像が流出したこと、そしてもう一つが10代などの少女たちが自ら過激な写真を撮りアップロードを行っていたということです。
この年代の女の子たちは「目立ちたい」「ちやほやされたい」といった欲求から、この画像共有アプリ内で彼女達とは違った目的を持った大人たちの過激な煽りによって、自ら過激な写真をどんどん投稿していった、という事例があったそうです
これらの事件の共通点は、画像や動画を含む個人情報の流出によって、当事者たちの人生が大きく変わってしまったという「ケツ毛バーガー事件」同様の被害が起こっています。
更に急速に進むIT技術の進歩とサービスの多様化によって、今まで同様のファイル共有ソフトによるものだけではなくアプリやクラウド、さらにはスマートフォンのセキュリティ問題などの面にも様々な危険性が潜んでいることを、もっと個人レベルから知っておくべきかもしれません。
そして、女性であれば早い段階から「自分の人生を棒に振らない」ための自衛策をとるべきかもしれません。特に後半の2事件からも分かるように、子供にまでスマートフォンが普及した現在として良識ある判断を社会としてとるべき必要があるのは明白でしょう。
mixiと2ちゃんねるの「ケツ毛バーガー事件」その後
引用: Pixabay
この事件に深くかかわったmixiと2ちゃんねるですが、実は現在もこの「ケツ毛バーガー事件」に関するコミュニティとスレッドが存在しています。
mixiに関しては「二度とこのようなことが起こらないために」という抑止的な意味合いを前面に出していました。また2ちゃんねるでは「情報流出事件を起こさないために」といった対策や個人のモラル喚起なども有志で議論されていたようです。
しかし2ちゃんねるでは事件後十数年も経ったにも関わらず、いまだに「ケツ毛バーガー事件●周年」といった「まつり」めいた煽るスレッドが毎年立ち上がってしまう、という事態も起こっているようです。
が、年々参加者も減りつつある一方で「そろそろスレを立てるのを止めてはどうか」といった良識的なコメントも寄せられるようになっていることもあり、いまだに続く被害者に対しての心無い行為が沈静化に向かうことが2ちゃんねるのユーザー内からも期待されているようです。
そう、この「ケツ毛バーガー事件」は実はまだ終わっていないのです。
ネット上に一度でも上がってしまった画像や動画情報は、いくら消しても無限に残ってしまうのです。そしてまだそのことに対処できる法律や抑止力も、日本ではまだ完全には整備されていないのです。
ケツ毛バーガー事件の真相まとめ!
引用: Pixabay
この「ケツ毛バーガー事件」により被害者がその人生やキャリアの全てを棒に振ってしまった事態となったことは、本当に悲しい事実です。前途有望だった二人の被害者が、今は少しでも前向きに過ごしていることを願うばかりです。
この事件を受けて、ある学校では詳細は語られなくても「たとえどんなに頼まれても、自分が恥ずかしい写真を撮らせてはいけない」という指導を子供たちにするように、という教育現場での注意喚起があったと聞きます。そして、ある地方警察はこの事件の詳細は伏せつつも「女性に対して、具体的に注意喚起を促すポスター」が作られたという情報もありました。
このように社会にもネットが大きな影響を与えた同時に、普通に暮らしていてもちょっとしたことからすべてを失う危険性がネット上に存在する、ということを広く知らしめた事件でもあったのではないでしょうか。しかし、これほどのニュースになる事が起こっても、同様の事件はまだ後を絶ちません。
昔なら「人の噂も七十五日」と言って、忘れ去られるのをひたすら耐えて待つことができました。が、ネット社会の現代では、10数年たった今でも「繰り返し」思い出したくないことを思い出させられる状況です。
こういったように、「自分の全てを壊す危険が、現代のネット社会では存在する」という無残な教訓だけを、この事件から学び、しっかりと記憶に留めておきたいものです。